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エピローグ第6話:チェーホフ『猟場の悲劇』と『スリー・ビルボード』前篇 『THREE BILLBOARDS OUTSIDE EBBING, MISSOURI(スリー・ビルボード)』徹底解剖


あったよ、ウォッカ!

デハ ウォッカマティーニ オネガイシマス。

ステアセズ シェイクシテ。

マーティン…

お前は顔に似合わずミーハーなイギリス人やな。

そのセリフ、007のパクリってことバレバレやで。

ナンドモイイマスガ ワタシハ アイルランドジンデス…

タシカニ イギリスセイカツガ ナガイデスガ…

どうでもええわ。

憧れの大阪に出て行った徳島人みたいなもんやろ、どうせ。

トクシマジンハ オオサカジンニアコガレテ トクシマジンデアルコトヲ カクストキキマス…

ダケド ワタシノアイデンティティハ ズット アイルランドニ アリマス…

ダカラムシロ オオサカニスム キョウトジンヤ コウベジント イッタホウガ…

はいはい。難しい話はやめて。

「ウォッカマティーニ、ステアせずにシェイク」お待ちどおさま!

じゃあそろそろ〆のうどんに行きましょうか。

徳島の名前も出て来たことだし。

うどんは香川や。

これやさかい東北人は…

ごめんなさい。

尾花沢生まれ尾花沢育ちの私は、熱海より西に行ったことないから関西には疎くて…

熱海か…

あれは確か、深読み探偵学校の僕のゼミの合宿だったな…

はい…教官…

ちょっとォ!なぜそこで赤くなるの?

何があったのさ熱海で(笑)

え?

こ、これは…お酒のせいよ…

・・・・・

・・・・・



(〆のうどん食べ終わって)

ああ、もう食えんわ。

口からうどんがツルっと戻って来そうや…

じゃあここいらで『スリー・ビルボード』とチェーホフの話をしてもらおう!

おかえもん、お願いしまーす!

よし、いいだろう。

みんな耳の穴かっぽじって、よく聴くんだよ。

ぶ~らじゃ~!

まず単刀直入に言おう…

『スリー・ビルボード』の脚本を書いたマーティン・マクドナーは、チェーホフの小説『The Shooting Party(猟場の悲劇)』を物語の下敷きにしている。

舞台を19世紀末のロシアから現代のアメリカ南部に移しただけで、ほとんど同じ話だといえるんだ。

映画のクレジットに「原案:アントン・チェーホフ『猟場の悲劇』」って入れてもいいくらいにね…

いや、本来なら入れなければならなかった…

ええ?どゆこと?

それくらい登場人物の設定やストーリーがクリソツってことだよ。

じゃあ逆に、なぜマーティン・マクドナーはクレジットにチェーホフの名前を入れなかったの?

入れたら全部バレてしまうからだよね。

アンジェラとウィロビーが愛し合っていたことや…

アンジェラ殺しの犯人がウィロビーだってことや…

アンジェラは死の間際にウィロビーを赦して、微笑みながら息絶えたってことや…

霊体となったアンジェラが人に憑依して「復活」していたことが…

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