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歳時記を旅する2〔聖五月〕中*帆綱もて風を意のまま五月くる 

佐野  聰

(平成六年作『春日』) 

メイフラワーとは五月の花という意味で一般的には山査子のことを指す。

一六二〇年、厳格なプロテスタントの一派である清教徒たちのうち一〇二名が、迫害から逃れるため、「希望」の花言葉を有する山査子(メイフラワー)の名を冠した船に乗って、イギリスのプリマスから出航した。

そして、アメリカのマサチューセッツ州に到着すると、
あたりを新たなる英国と呼び、やはりそこにプリマスという町を造り上げた。

こうして彼らはピルグリム・ファザースとなり、アメリカ合衆国をプロテスタント国家とするための礎ができた。

句は、今まさに帆を揚げて洋々たる海を進んでいるところ。
自らの力で風を操り、目標とするところへ到達することに何の不安も感じられない。

(岡田 耕)

(俳句雑誌『風友』令和二年五月号 「風の軌跡ー重次俳句の系譜ー」)

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