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俳句に見る沖縄の浜下り

【御礼】#探究学習がすき 応募作品の中で、「はまぐりを節句に使う訳のわけ」が先週特にスキを集めました!とのことでした。
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沖縄の旧暦三月三日の行事、浜下り(ハマウリ)ですが、時代や地域、むら、家ごとに風習は異なるようです。
 沖縄の魂に少しでも近づきたいと思い、四十年以上前に発行された『沖縄歳時記』(琉球新報社 1979年)から、浜下りと汐干狩りがどう詠まれているか、句から想像してみます。
 歳時記で浜下りとは「海辺に足を漬け健康を祈願する日」であり「重箱にさまざまなご馳走を盛り、解放された女たちが海辺の砂浜に車座になり御重を開き、踊り遊ぶ日でもある」とされています。

浜下りや板干瀬に咲く波の花 小橋川文子

板干瀬とは、砂浜の波打ち際にサンゴなどの欠片が板を敷きつめたように固まった海浜岩のこと。その上で、御重を開いているのでしょうか。あたりには波の花がそれに「花を添える」ように咲いているように見えて、賑やかな様子がうかがえます。

珊瑚礁よりむらさきの海栗剥す 沢木欣一

潮の引いた珊瑚礁で海栗(ウニ)を獲っています。「むらさき」が鮮やかで臨場感があります。作者は富山県出身で大正8年生まれ。「風」を主宰し、沖縄に関する句集『沖縄吟遊集 句集』があります。(1974年)

蛤焼く汐の香焦がし塩こがし 平良雅景

歳時記の「汐干狩」には「遥か彼方まで潮が引き、萌黄色に珊瑚礁が浮きあがり、さんさんと降りそそぐ陽光と陽炎の風色に、身震いするほど春を諾う躍動を感じられずにいられない。」とあります。例句は、獲った魚貝を海辺で調理して家族や友人と楽しむ様子がうかがえます。作者は宮古島出身で大正11年生まれ。沖縄県現代俳句協会長も務めたとのことです。

宮古島に伝わる、潮干狩りをする女性を主人公とする歌を、K さんが音源とともに投稿されています。歌詞には御神酒が出てきて、浜下りとの結びつきを思わせる興味深い歌です。ご紹介します。

(岡田 耕)

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