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共鳴*がうがうと風の意のまま野火走る

がうがうと風の意のまま野火走る 耕 

 焼畑農法が盛んだった頃は山焼きが盛んに行われていたが、今は葦や芒原、牧草地を焼くのがほとんどで、阿蘇や若草山などの山焼きか、足尾の遊水地の野焼きが有名である。近くでは箱根の仙石原、伊豆の大室山などがテレビなどでも放映されるが、そんな大掛かりなものでなく、土堤や畔などを焼くのも野焼と言う。「野火」とはその野焼きの火。
 掲句は「がうがうと」とすさまじい火と風の勢いを詠っているので、大掛かりな野焼か山焼きの景だろう。一旦野に放たれた火は風を呼び、更に風が風を呼んですさまじい勢いで燃え広がる。その燃え広がりと勢いは正に風のなすがまま、つまり、「風の意のまま」である。「意」を意のままに詠みこんで大景を詠い上げた。
(光生)

「あひる句会報 令和三年一月号」


☆「野火」は、古今和歌集の頃から詠まれています。ちのみゆき さんに歌の紹介があります。

(岡田 耕)


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