句集紹介 和田華凛『月華』
句集『月華』 和田華凛
ふらんす堂 2022年
作者は、昭和二十三年曾祖父後藤夜半が創始した俳誌「諷詠」の主宰。「ホトトギス」同人。「玉藻」同人。
平成十八年に「諷詠」入会し、後藤比奈夫、後藤立夫に師事する。
平成二十五年『初日記』上梓。
平成二十八年に、父後藤立夫逝去により俳誌「諷詠」四代目主宰を継承した。
本書は第二句集。平成二十五年から令和三年までの三百七十四句を収載する。表題の『月華』とは、月の光のこと。
諷詠では、夜半の時代から句作にあたり「物の見えたる光」が心から消えないうちに俳句にする形式を続けているとのこと。句集もまたそのときに詠んだ花鳥諷詠、客観写生の句がほとんどだという。
「涅槃図の月もこつそり泣いてをり」
「明日流すための雛を飾りけり」
「信念を貫き冬の瀧となる」
「壬生狂言言はねばならぬ故無言」
「しんしんと引力満つる冬の月」
作者は昨年、祖父の戒名から「深観新詠」という作句信条を得たという。
「全てのものを深く心に感じながら観ることで、だんだん自身の心が深くなり、日々新たな心で言葉を紡ぎ、俳句を詠んでいこうという志」を表明している。
(岡田 耕)
(俳句雑誌『風友』令和四年十一月号「句集紹介」)
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