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句集鑑賞 磯村光生『千枚田』(1)

磯村光生『千枚田』
平成二十二年  あひる書房

句集「千枚田」は第一句集「花扇」につづく第二句集である。
作者は、周知の通り花に関して造詣が深く、花に関する句が多い。
数だけではなく句柄も、凡人では気付かないような精緻な観察がなされており、詩的な発見というより学術的な発見ともいえるような視点もあり、「花の光生」という称号にふさわしい。
今回の「千枚田」は「花扇」以後の、平成十年から十二年間の作品が発表年ごとに掲載されている。
「花扇」で花に関する句は、数え方にもよるが全三〇九句のうち九四句あり三〇%を占めていた。
「千枚田」では全三二八句のうち九八句でこれもまた三〇%あり、前句集と比率が偶然なのか全く同じである。
里山歩きが中心の句集であるが、その骨格は花の句が支えており、実は本句集も数で言えば「花の句集」なのである。

 酔芙蓉うつつに夢を見てゐたり  磯村光生

*(2)に続きます。(近日投稿)


(岡田 耕)

(俳句雑誌『風友』平成二十二年十一月号「磯村光生句集『千枚田』鑑賞」)
*引用句は本稿のみ

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