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【中東問題を理解するvol.6】旧約聖書の歴史(5)

イスラエルとパレスチナ・ハマスを巡る、
複雑な中東問題。

旧約聖書の歴史を辿りながら、中東問題の本質を探ります。

教義の解釈など、理解不足の点はご容赦ください。
あくまで、自分が中東問題を理解するためのメモの公開となります。

今回は、
アダム、ノア、アブラハム、ヤコブに続き、
ヨセフ(ヤコブの息子)の話を記します。

預言者モーセにつながる重要人物ですね。

前回の記事はコチラ
 ▼▼▼

【中東問題を理解するvol.1】宗教について
(多神教と一神教、エルサレムの話)
【中東問題を理解するvol.2】旧約聖書の歴史(1)
(天地創造、アダムとイヴ)
【中東問題を理解するvol.3】旧約聖書の歴史(2)
(カインとアベル、ノアの方舟、バベルの塔)
【中東問題を理解するvol.4】旧約聖書の歴史(3)
(アブラハム)
【中東問題を理解するvol.5】旧約聖書の歴史(4)
(ヤコブ)




(7)ヨセフ

ヨセフは年寄り子であったから、イスラエルは他のどの子よりも彼を愛して、彼のために長そでの着物をつくった。
兄弟たちは父がどの兄弟よりも彼を愛するのを見て、彼を憎み、穏やかに彼に語ることができなかった。
ある時、ヨセフは夢を見て、それを兄弟たちに話したので、彼らは、ますます彼を憎んだ。

(創世記37章3~5節)

旧約聖書は実に長い。
しかも登場人物も多く、地名も複雑なので、なかなか読みずらいのですが、
改めて読んでみると、そのストーリーは人間味があり、非常に興味深い内容となっています🤔。

アダムとイヴに始まった人類は
カインとアベルの次にセトが生まれ、
その子孫のノア、更に子孫のアブラハム
更に孫のヤコブへと話が進みます。
ヤコブは神からイスラエルという名を授かります。

人類の誕生を描いた「創世記」の最後は
ヤコブの息子、ヨセフの話となります。


■ヨセフの夢

「信仰の父」と呼ばれたアブラハムの子、イサクの次男ヤコブには、4人の妻と12人の息子がいました。

ヤコブは、4人の妻の中で、最も愛する妻ラケルから生まれた11番目の息子、ヨセフを特に溺愛していました。
このため、ヤコブは他の兄からは妬まれていました。

このヨセフは、予知夢を見たり、夢解きをする、また空気を読めないなど、一風変わった子供だったようです。

ヨセフが見た夢は
「兄弟で畑に出て穀物を束ねていると、兄たちの束がヨセフの束を拝んだ」
「太陽と月と11の星が、ヨセフのことを拝んだ」
というものでした。

ちょっと自慢気に話すヨセフの態度に、年の離れた兄たちは思います。
「あの野郎、超むかつく…」😠

このときヨセフが見た2つの夢は、
兄弟や父親さえも自分を伏し拝むという内容だったため、ますます兄たちに憎まれてしまいました。

更に、ヨセフは正義感が強かったのか、兄たちの悪い噂を父に告げ口したりもします。
「あの野郎、いつかぶっ殺す…」🤬

兄たちのヨセフに対する憎しみは相当募っていました。


■エジプトへ追放

ある​日、ヨセフは父からの言いつけで、兄たちが羊の世話をする場所へ様子を見に行きます。

ヨセフ​が​やっ​て​来る​の​が​見え​た​時、
兄​​の​一人​が『あいつ​を​殺そ​う』と​言いだします。
皆はそれに賛成しますが、長兄のルベンが殺すのを止め、代わりに深い穴に投げ込んでしまいます。
その時、エジプトへ向かうイシマエル人の隊商が、その地を通りかかります。
四番目の兄のユダが「あいつを売っちまおう」と言い出します。
こうして、ヨセフは、銀20枚で奴隷として売られてしまいます。

ヨセフは奴隷として、隊商の手で、エジプトに連れて行かれることになります。

余計者ヨセフを追い払った兄たちは、
ヨセフの服をヤギの血で浸し、それを父ヤコブに見せ、ヨセフが野獣に襲われたと、父を欺きます。

これを聞いたヤコブは、大いに嘆き悲しみ、
何日間も泣いて暮らしたのでした。


■エジプトでのヨセフ

エジプトへ連れて行かれたヨセフは、
エジプトの高官ポテパルの家に売られます。

ヨセフは次第に頭角を現し、主人にも認められ、
やがて、家の様々な管理を任されるほどになりました。
(神のご加護?)

一方で、容姿にも優れていたヨセフは、
主人の妻に目をかけられてしまいます。

妻はヨセフを誘惑しようと言い寄りますが、
若いヨセフからは拒絶されます。

怒った妻は逆ギレ!
ヨセフに誘惑され、犯されそうになったと嘘をつくのです。

これを聞いた主人のポテパルは激怒し、
無実のヨセフを、王の囚人をつなぐ牢へ投獄するのです。

熟女怖い…😰


■牢獄でのヨセフ

牢に入れられたヨセフでしたが、
牢獄の中でも、模範囚として看守から一目おかれる存在となります。
やがて看守長は、監獄の全ての囚人の管理をヨセフの手に委ねます。
(神のご加護??)

ヨセフには神から授かった不思議な能力がありました。
それは、夢を解き明かすという力でした。

ヨセフが投獄されてから10年程過ぎたある日、
エジプトのファラオに仕える、給仕長と料理長が投獄されてきます。
数日後、彼らは同じ夜に、それぞれ意味のある夢を見るのですが、
ヨセフはその夢の謎を解き明かします。
それは、
3日目に給仕長は許されて王宮に戻り、
料理長は処刑されてしまう
ということでした。

3日後、疑いの晴れた給仕長は
ヨセフの言う通り、釈放されます。
そして、料理長は言う通りに処刑されます。

ヨセフは釈放される給仕長に、いつか自分のことを思い出して欲しいと頼み、送り出すのでした。


■エジプトの宰相となるヨセフ

それから2年ほど後、エジプトのファラオ・パロ王は不思議な夢をみます。

しかし、誰もその夢の意味を解き明かすことができません。
その時、給仕長はヨセフの存在を思い出します。

そしてヨセフは、見事にパロ王の夢の内容を解き明かします。
それは
これから7年間の大豊作が来るが、
その後、7年間の大飢饉がやって来る
といういうものでした。

ヨセフは、豊作の間に穀物を蓄えるようにファラオに進言します。

ヨセフの献策は、大いにパロ王と側近たちを満足させ、
ヨセフが知恵のある人物だと見抜いたパロ王は
ヨセフを宰相として召し抱え、その全権をヨセフに委ねるのでした。

その後、ヨセフの言う通り、豊作の後、飢饉が訪れますが、
十分な穀物を備蓄していたエジプトは、飢饉に強い国になっていました。


■ヤコブ一族との再会とエジプト移住

ファラオが見た夢の通り、飢饉がエジプトのみならず、各地に起こります。
それはヨセフの故郷、カナンでも同様でした。

そこでヨセフの父ヤコブは、息子たちに食料調達のため、エジプトへ行くように命じます。
但し、ヨセフの後に生まれた、末っ子のベニヤミンだけは手元に残しました。

こうして10人の兄弟はエジプトに向かい、宰相となったヨセフと面談します。
ヨセフは兄だとすぐにわかりましたが、
兄たちは気付きません。
兄たちの手で、ヨセフが奴隷としてエジプトに連れ去られてから、既に20年の時が過ぎていました。

ヨセフが子供の頃に見た夢の通り、兄たちはヨセフにひれ伏しました。

ここでヨセフは、兄たちの心を試します。

12人目の弟ベニヤミンをエジプトに来させるように、ヨセフが命じます。
そして、ベニヤミンがエジプトに来ると、
今度は、ベニヤミンだけはカナンの地へ返さないと言い出し、兄たちの立場を窮地に追いやっています。

兄たちはヨセフの申し出を断ります。
愛する息子のヨセフを失った上に、末っ子のベニヤミンまで失うことは、父ヤコブにとっては死ぬほど辛いことであると、兄たちは分かっていました。

そして、弟のヨセフをエジプトへ売ったことを
心から悔いていたのです。

兄たちの後悔を知ったヨセフは、自分がヨセフであることを明かします。
そして、兄たちを赦し、
この飢饉の発生を知っていた神が、ヤコブ一族を救うために、敢えて私をエジプトの地に遣わされたのだ」と語りました。

こうして兄弟は再会し、和解します。

そして、父と共にヤコブ一族は、飢饉から救われ、カナンの地を離れ、全員でエジプトに移住することになったのです。


参考
▼▼


■最後に

こうして、旧約聖書の最初の部分「創世記」は、
ヨセフの話で終わります。
この続きが有名なモーセの「出エジプト記」の話になります。

ずいぶん昔、札幌の場末の映画館のレイトショーで「十戒」のリバイバル上映が行われていました。
夜遅い11時か12時に上映開始。
4時間近い作品で、眠い目をこすりながら夜中に見た思い出があります。

チャールトン・ヘストン演じるモーセが、ユダヤの民(ヘブライ人)を率いてエジプトを脱出するという内容なのですが、なぜヘブライ人(ユダヤ民族)がエジプトにいたのか、今回ようやく理解することができました。

ヨセフに招かれた父ヤコブの一族は、この後で、
なんと400年もの間、エジプトに留まり、
その間にエジプト人の奴隷とされてしまったのです。
そこから脱出して、約束の地「カナン」へ戻るというのが「十戒」の大筋です。
物語の400年前にこうした事情があったとは、知らなかったなぁ💦

「旧約聖書」をモチーフとする映画や舞台は意外に多く、基礎知識をある程度知っていると、より深く、その内容やテーマ性を楽しむことができますね。

なお、「旧約聖書」は全39巻。
天地創造から始まって、イエス・キリストが生まれる400年ほど前までのイスラエルの歴史が記載されています。
内容は4つに分類されていて
①「律法」
②「歴史書」
③「詩歌書」
④「預言書」
からなっています。

この中の「律法」は別名「モーセ五書」と呼ばれていて
❶創世記
❷出エジプト記
❸レビ記
❹民数記
❺申命記
の5書があります。

この「旧約聖書」39巻に加え、「新約聖書」には27の書があるとされ、この他「外伝」もあるので、さすがに紹介しきれませんね😅。

ただ、ユダヤの歴史を知るうえで、今回紹介したのは最初の最初。

この後、キリスト教が誕生し、イスラム教も誕生していきます。
その背景には一体何があったのか…?

なぜ、ユダヤ民族は第2次世界大戦が終わるまで、迫害され続けていたのか…?

そして、なぜイスラエルが建国され、現在も紛争が続いているのか…?

現在進行中のウクライナとロシアの戦争も、ユダヤ人の迫害が遠い原因だった…?

戦前の満州で、日本人が主導するユダヤ人国家を作る計画があった(河豚計画)…?

などなど、まだまだ話は長く続いていきます。


中東問題を理解する上で、参考になれば幸いです。

今回も長くなり恐縮です。
m(_ _)m
それでは、また。

(一応、つづく予定)

(2023年11月8日投稿)


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