見出し画像

苔ウォッチングin奥入瀬渓流 その2 24/3/15

昨日に引き続き苔ウォッチングですが、今日の主役はこれからの時期にたくさん観察することができる胞子体、通称「苔の花」です。

緑鮮やかな苔の身体の中からニョキッと生える紅い豆もやしのような存在。
思いの外、よく目立つんです。

ツンツンしてて可愛いねぇ(ニッコリ)と愛でるだけでも十分なのですが、苔の花には驚くほどの微細な構造が隠されているのです。

苔の花の頭の部分
(専門用語では朔【さく】と呼びます)

この朔の中で大事な胞子が作られます。
上の写真の2本は同じ苔から生えていたものですが、先端の様子が異なっています。

朔の中の胞子が成熟すると蓋が外れて口が開く仕組みで、下段の苔の花が口が開いた状態。
この口の部分の構造がすごいんです。

すごいんですけど、見た目はちょっと気持ち悪い寄りなので、苦手な人もいるかも…。


朔の先端の正面どアップ

写真ではサイズ感が伝わりませんが、この先端部分の直径はわずか1.5mm程度。
その中にこれだけの構造が隠れてるんです!
苔に興味を持っていなかった頃の私なら、極小の食虫植物と紹介されても信じていたと思います。

虫を食べる為ではありませんが、この黄色と白色の二重構造の歯のような部分、朔歯【さくし】は開閉する仕組みを備えているんです。

ピタッと閉じちゃう

口の開閉は、胞子を飛ばす量やタイミングを調節する為の仕組みだと考えられています。
開閉のキーになるのは湿度の変化で、この苔の場合は湿ると閉じて、乾くと開きます。
これがmm単位の世界の中で行われているんだから驚きです。



同じ場所の風景は今日も明日も同じように見えてしまうけれど、この小さな世界の中では変化があるわけです。
そんな小さな変化が巡り巡って四季が紡がれているのかなぁ…なんて考えてみる。

あぁ、春が待ち遠しい。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?