春一番がやってきた【2015.02 若山・太閤道】
春一番がやってきた。
上空にたなびく雲を眺めながら、
ほのかに温い風を身体で受ける。
地表へとはぐれた春一番は、
地表に生きるすべての生き物に春を告げて回っているかのようだ。
風の運ぶ春の匂いに、
私の身体のどこかにある芽生えの源が燻られる。
上空を走る春一番は、
いつまでも居座り続けようとする冬の一団を
問答無用に蹴散らしながら邁進しているかのようだ。
動かざる山を動かし、
静かなる林を大きく揺さぶる。
季節というものは
轟々とした風の力によって
劇的に移り変わっていくもの。
太古の昔より、
地球を巡り続ける風の生業だ。
山より大きな、遙かなる風の物語。
私は風が怖くなって、
そそくさと下山しましたとさ。
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