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カナダのJKが先生になってみた話

私、先生になりました。

高校生が先生になった、というのは相反する存在が共存していてかなり違和感がある。

先生になったというのは少し大袈裟だが、留学先の高校で'Peer Tutoring'という、先生の補佐役のような役目をオファーされたので、面白そうだしやってみよう、と軽い気持ちで今月から始まった。

私が補佐で入っているクラスは、Workplace Math 10 という数学のクラスの一種。

カナダの数学は、AP Calculus/Calculus(現地大学一年レベルの微分積分学)、Pre-Calculus(微分積分学の準備段階)、Foundation of Mathematics(数学基礎論)、Statistics(統計学)、Workplace Math(実用的な数学)といくつかに別れており、私のクラスは日本の高校数学よりかなりシンプルな計算が多いが、元々それぞれの科目の目的が違う。

Workplace Mathは日常生活で必ず使うと言っても過言でない計算の方法や、将来給与を貰った際に手取りや納税申告に必要な計算の方法を習う、実用的な教科だ。
因数分解も放物線も使わないが、将来必ず役立つ科目なのです。


私が初めてWorkplace Mathの教科書を見たとき、「いやいやなにこれ簡単じゃん」と思ったのですが、自分で解く分にはとても簡単なのです。

自分で解ければ簡単です。

乗法、除法を理解していたら解ける問題ばかり。

私のクラスには数学が苦手だったり、様々な理由によって他の数学のクラスを履修することができない生徒がいる。


私が簡単だと思っていたことが、理解できない生徒もいる。
反対に私が簡単に解ける問題でも、生徒に解説を求められると、うまく言葉にして伝えられないこともある。


今回のオファーを受けて、一番初めに痛感したのは、自分の当たり前を他人と共有するのはとても困難だと言うこと。

(Pre-Caluclusを履修した)私にとっての単純計算が、同じ問題を見て難しそうな数字の羅列に見える生徒もいるし、ベースの知識量も皆それぞれ違うので、先生という立場から見たら見えづらい景色があるし、その目線の差をどこまで縮められるかということが重要なのではないかと感じた。

先生という垣根を超えて、同じ場所から物事を捉えないと生徒たちが理解できる解説ができないな、と思った。


ホストマザーとも夕飯の時に話ていて、「教えるということは、ただ内容を理解しているのとは違って、異次元の話なんだよ」と言われて、その通りだなと思った。自分自身が解くのと、他人が解く際に程よく手助けをするのは、さじ加減が難しい。
ヒントをあげ過ぎれば生徒の成長を摘んでしまうし、適切なヒントや助言ができなければ、その時のできなかったという体験が数学からもっと遠ざかるきっかけになってしまうかもしれない。

Workplace Mathの先生は
『It is for your own growth but the most important thing is to help students understand the content. THOUGH your job is not just to give off answer to students. 』(補佐の仕事はおひなどんの成長のためにも大切だけど、それよりも大切にして欲しいのは、クラスの生徒が授業の内容を理解することだよ。でもね、おひなどんの役目はホイホイ答えを与えることじゃないんだ。)

言葉にうまくできない『何か』を教えることを通じて、うまく言語化していく必要があるなと感じた。
多分、このような大変な役目を任せてもらえなかったら気づけていないことなので、一つ一つの経験を大切に感じ取って行きたいし、私が補佐に入ったからには生徒たちにはなるべく数学に親しみを感じて欲しい。
少しでも数学を好きになってくれたらいいなー。

私も特に数学大好き!という高校生ではないから、気持ちは理解できる。
でも理解できるだけじゃなくて、重ね重ね述べてしまったけれど、立場が違っても同じ視点から物事を捉えるようになれなかったら、多分生徒には寄り添えないとおもう。

今学期の目標は、教えることを通じて立場の違う人の視点に立つことのできる人になること。

最後に

今週ずっと思っていることは、今月の二週間を通じて感じた教えることの難しさに毎日向き合っている先生方は本当に素晴らしいし、教職につかなくても間違いなく人として持っているそのスキルは見習いたい。


私を数学好きに変えてくれた先生も、化学のクラスで自信をつけさせてくれた先生も、英語で辛抱強くずっと私と向き合って教えてくれた先生も、それぞれ素晴らしくて、今までずっとわからなかったけど、これは皆ができることではない。自分の思考を何らかの形でプラスに変えてくれた先生たち全員を尊敬しているし、今気づけて良かった。

長くなってしまったけど、私は今学期の1クラスだけ先生(補佐)として沢山のことを学ぶつもりです。

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