おじいちゃんはカレンダーが好き｜エッセイ

おじいちゃんはカレンダーが好きだ。

カレンダーが好きって何？という感じだが、
実際、家の至る所に
さまざまな種類のカレンダーを飾っていた。
一番のお気に入りは
ビックカメラのカレンダー。
年末から正月にかけて
ビックカメラで無料配布される、
1mほどある巨大カレンダーだ。

昔はどこのビックカメラに行っても
配布していたのだが、
最近では新宿店でしか
見かけなくなってしまった
ちょっとしたレアアイテムだ。
(他に配ってるところあるのかしら…)

私は、家族の中で一番新宿に行くということで
暗黙の了解でカレンダー運搬係を担っていた。
しかし、おじいちゃんが
老人ホームに入ったことで、
今年から係剥奪となってしまった。
唯一の役職だったので、大変残念だ。

さて、こんな変わった
趣味を持つおじいちゃんだが、
これ以外には変わったところはなく、
私の親族で唯一と言っていいほど、
"人生のレール"を大事にする人だ。

以前も話したが、
私は行く気がなかったのに、
おじいちゃんに猛烈に説得され、
大学に行くことになった。

また、運転免許も取る気はなかったが、
絶対にとってくれ！と説得され
免許センターにも通うことになった。

私の履歴書に記されている内容は、
ほぼおじいちゃんが関与している
と言えるだろう。

そして、
大学、運転免許をクリアした今現在も
おじいちゃんから課されている
課題が実は存在する。

結婚 だ。

2年ほど前からふんわりと、
「子どもを考えると、
　そろそろ結婚かな・・？」
と言ってくるようになったのだ。

令和にそんなことを言うなんて、
もはやシビれる。
ドラマでしか聞かないやつだ！！と、
THE 親族のセリフに感動してしまった。

だが、何回も言われるうちに
また今日も言われるのかな・・ﾋﾞｸﾋﾞｸ・・
と流石に私もビビるようになってしまった。

悲しいことに拙者、
孫のまの字もないどころか、
結婚のけの字もない。
いや、彼氏のかの字もないでござるよ。
ごめんよ・・・おじいちゃん・・

そんな感情を抱きながら、
先月もおじいちゃんの老人ホームに
面会に訪れた。

たわいもない会話が続き、
特に結婚の話題も出なかったので
これは今回は何も言われないパターンだ！
良かった・・！！
と安心していたのも束の間、
今回も衝撃の一言がおじいちゃんの
口から放たれた。


「もう結婚した方がいいよ。
　今年！」

こ・・・・・・・・
とし・・・・？

今7月で今年・・・・？
半年以内・・・・・・？
ムリ ムリ ムリよ・・

母と顔を見合わせて、
無茶振り！！！！
とサイレントで笑ってしまったが、
おじいちゃんは止まらなかった。

テーブルにあった
老人ホームの卓上カレンダーをつかむと
パラパラとめくり始めた。

やばい！！！！
日取り決められる！！！！
と母とまたしても顔を見合わせた。

すると、
おじいちゃんが
もう一言。。。

「このカレンダー、もらってもいいのかな？」

いや、日取り決めてたんじゃ
ないんかい！！！！

おじいちゃんはカレンダーが好き。

さはら
1997年9月生まれ
ハーフ
座右の銘は晴耕雨読
万年フリーター

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