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#人生を狂わせた小説4作品

Xのハッシュタグで、「人生を狂わせた作品5つ挙げる」を見つけた。今回の小説で、このシリーズは終わり。以下に紹介する作品はマンガで読んだのがほとんど。でも原作が小説なので小説カテゴリにした。

刺青しせい』 谷崎潤一郎

画像:Amazonから引用

簡単なあらすじ

元浮世絵師の清吉は、自分の理想の女性の肌に「己の魂を彫り込みたい」という願望があった。足首だけを見て、「理想の女性」と直感した清吉だったが見失ってしまった。時が流れて、あの女性と偶然再会。彼はその人の背中に刺青を入れた後、彼女は変貌した。

マンガで読んだ。この作品から、エロと官能の違いが少し分かった気がする。「足首」に美しさを見出す気持ち、少し理解できた。

私はオチが良かったと思う。彫師の内なる欲望は、支配欲とは真逆だった。女の最後のセリフがゾクゾクした。背中は自分よりも、人の目に触れやすい場所。その無防備さが逆に官能的な魅力を放つのかも。

『リア王』 シェイクスピア

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簡単なあらすじ

老いた王が3人の娘に王国を分与しようとするが、感情のままに言った言葉により裏切られ、破滅に至る物語。

これもマンガで読んだ。どこにでもある遺産相続、王位継承から物語が始まる。でも展開は自分の予想の斜め上をいく、容赦ないストーリーが衝撃だった。言葉がいかに脆いかを痛感。でも最後は少し希望があった。

阿Q正伝あきゅうせいでん』 魯迅

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簡単なあらすじ

身分が低い「阿Qあきゅう」は人一倍高いプライドを持っていたが、金にも家にも女にも縁がなく、読み書きもできない。自己陶酔と承認欲求のために、革命に参加。無知と無能さから冤罪で逮捕される。周囲の人々は彼を嘲笑し、彼は無残な結末を迎える。

今の時代も、似たようなことが起こっているような気がする。私の周りで見聞きするニュース、SNSでも無気力・感覚が麻痺している人がいる。刺激の強いものを求めて、自分の好き嫌いで誰かを悪者にする。

『阿Q正伝』のラストはおぞましかった。同調圧力が良くない方にいった結果なのだろうか。そして、こんな醜さが自分の中にもあるかもしれないと思うとゾッとする。

『人間失格』 太宰治

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簡単なあらすじ

裕福な家庭で育った葉蔵は、社会の中で上手に生きることができずに道化を演じる。世の中と人への恐怖心を紛らわせるために、葉蔵は酒や煙草、不道徳な行為で破滅していく。

主人公のダメンズぶりにはお尻を叩いてやりたい。読後、自分まで人間失格になったような気分になった。人は一度転落すると、転がり続けるんだろう。そして落ちるのは簡単。這い上がろうとする部分もあったけど、救いのない結末になった。だからこそ、『人間失格』は名作になったのかもしれない。

ここに挙げた小説は一生忘れられない作品だ。多分どれも他人事に思えないからこそ、自分がどう生きるのかを考えたくなるんだろうな。

さいご:「#人生を狂わせたシリーズ」

自分の好きな作品について、自己満でたくさん書けて楽しかった。「私」という人間の土台が、これらの作品からできていく。


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