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圧倒的おもちゃ。

2歳の息子が、恋に落ちる瞬間を目撃した。

それは、とあるママグループの集まり。
公園でのプレイデート。
ひとりの男の子が、砂場で遊ぶおもちゃとして、大きめのダンプカーとショベルカーを持ってきたのです。

その素敵なおもちゃに気付いた瞬間、ズキュン!

近づきたい。触りたい。自分のものにしたい。

息子はおもちゃとの距離をジリジリと詰め、必死に目で訴えた末に、気になるおもちゃを貸してもらうことに成功します。

が、予断は許されません。

同じ年頃のボーイズが、虎視眈々とそのおもちゃを狙っているのですから。

取って、取られて。泣いて、泣かれて。

ダンプカーとショベルカーを中心に、笑いあり、涙ありの壮絶なドラマが繰り広げられたのでした。

恋に落ちたその日から、息子は必死に交渉してきます。

「ゲンちゃん ディグディグ ほしーぃ」
※ディグ=Dig=掘る=ショベルカー

「ゲンちゃん ダントラッ ほしーぃ」
※ダントラッ=Dump Truck=ダンプカー

しゃべりはじめたばかりの2歳児は、持っている語彙力をフルに活用し、母性本能をくすぐってきます。

夫と相談し、そんなに好きならば買うか、ということで購入が決定!

しかも、ドドンと同時に2個!

ネットで調べると、ターゲットという何でも売ってるお店に在庫があることが判明したので、キッズが学校に行っている間に買ってくることに。

「今日ディグディグとダントラッ買ってくるからね!」

そう約束したものの、ターゲットのどこを探してもない。

念のため、もっと何でも売ってるお店ウォルマートにも行ってみる。

ない!

やばい!!!

すでに息子の泣き顔が目に浮かんでくる。

「ディグディグぅぅぅぅ、うぅ、うぅ。ダントラーーーーーッ!!」

こうなったらAmazonさんに相談だ。

家に帰ってネットで探してポチッとな。

ふぅ。

2歳相手に何をここまで真剣に、と思いつつ、母は半ばムキになっていたのでした。

「翌週の火曜に届けまーす」とあったのですが、一足早く、週末の朝にピンポーン!ボコッ!と、大きな箱が玄関に投げつけら・・・いや、届いたのです。

でかした、Amazon!

週末はこいつでたっぷり遊べるじゃないか。

食べ途中だった朝ごはんを、文字通り放り投げ、家にやってきた大きなダンプカーとショベルカーに、むらむら群がる子供たち。

ちょうど2個あったので、ケンカせずに遊び始めます。

よしよし。

午前中は散歩がてら近所の池&カフェ&芝生があるエリアに遊びに行ったのですが、もちろん息子の腕の中には、新品のショベルカー。

芝生でピクニックしていると、インド人の幼い兄弟が、おもちゃに引き寄せられるように近寄ってくる。

ズキュン!
近づきたい。触りたい。自分のものにしたい。

心の声が聞こえるようです。

気持ちはよーくわかるものの、ソーシャルディスタンスと言われているし、ぜんぜん知らない子だし・・・。

何度か近づくと離れるを繰り返した後、親がやってきて、こう言うのです。

「可能だったら、それで2分ほど遊ばせてもらえませんか」と。

それほどまでに、魅力的なおもちゃなのでした。

部屋でも遊びたいというので、外遊びのあとは水拭きしてやり。夜は夜でお風呂に一緒に入りたいというので、一緒に入れてやり。
公園に持っていくと、見知らぬチビたちが、目をキラキラさせて近寄ってくる。

そんなおもちゃを手に入れることができて、私も息子も大満足。

が、タイトルの「圧倒的おもちゃ」というのは、このダンプカーやショベルカーのことではありません。

ある日、公園の砂場で息子と遊んでいると、ヘンな音が近づいてくる。

ボッボッ。ボッボッ!ボッボッ!!!

何事かと思って振り向くと、4歳の男と子が電動式のトラックに“乗って”、それを自ら“運転“しながら、近づいてきたです!

トラックとしてはミニミニサイズですが、おもちゃとしては超ド級。

砂場の脇に停車すると、トラックのドアをサッと開けて降り立ち、荷台に積んでいる沢山の砂場グッズをドバサッ!

その流れで、4歳のトラック運転手はおもむろにズボンを下ろし、茂みに向かって放尿。

そうです。

私たちの目の前で、立ちションし始めたのでした。

親は「やれやれ」という顔はしたものの、特に慌てたりする様子もない。あとで聞いたら近所に住んでいるそうで、いかにこの運転から立ちションまでの流れが日常的なものかを、物語っています。

我が息子は、おもちゃとしては巨大な運転できるトラックをガン見。でも、彼の目には羨望ではなく、畏怖の色が漂っている。

「トラック のる だめだめ」

「ゲンちゃん ダントラッ あーる」

あのホンモノのようなトラックに、自分は乗ってはならない。

自分には、自分のダンプカーがあるのだから・・・。

上には上がある。それがこの世の常。

でも、圧倒的なものが必ず愛される、というわけでもない。

そして、何より言いたいのが、これ。

近所に住んでるんだったら、家出る前にオシッコしてこいや。

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