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バイリンガルのレシピ。

二言語話者。
2つの言語を自由に使う能力がある人。

バイリンガルなるものは、どのように作られるのか?

このnoteでは、小2でアメリカの現地校に放り込まれた私の実体験と、最近バイリンガル化が進む娘(4歳)の様子を踏まえて、「幼少期に第二言語を習得すること」のリアルをご紹介します。


【ステップ1】 英語環境へ、レッツ・
ゴー!

まず最初に必要なのは、日常的に英語に触れる環境です。

私の場合は、父のアメリカ転勤に伴い、家族でアメリカに引っ越す!というのがソレ。小2の冬に、雪降るバージニア州に降り立ちました。

多くの親御さんは、海外生活が始まる“前“に英語学習を始めると思いますが。母は「アメリカに行けば英語がしゃべれるようになる」と思ったそうで、予習は特にナシ!

強いて言えば、「小林克也のおしゃべりアメリ缶」という英会話学習セットを購入。その中からカセットテープを3個ほどアメリカ行きの機内に持ち込み、聴かされた・・・というのが、初めての英語学習の記憶です。

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「ブンチキ♪ ブンチキ♪ メ~アイ・ハッヴァ・ブランケッ?」

リズムに乗って、軽快に英語フレーズを教えてくれます。

私に渡されたカセットテープでは、永遠に小林克也が「メ~アイ・ハッヴァ・ブランケッ?」を繰り返し、そのせいかわかりませんが、機内で大いに乗り物酔いをしてしまいました。

その後の10時間、母と兄に多大なる迷惑をかけながら、グロッキーに過ごしたのは、今ではいい思い出です。


【ステップ2】耳が育つまで、ひたすら待つ。

アメリカに着いたらさっそく現地の小学校に通い始めるわけですが、先生も英語。生徒も英語。テキストも英語。貼り紙も、テストも、体育ですら英語。何一つ、理解できません。

唯一知ってる「メ~アイ・ハッヴァ・ブランケッ?」では、戦闘力ゼロ。兄と私は丸腰のまま、毎日ホイッと現地校に放り込まれていました。

そんな私たちが、学校で最初に覚えた英語フレーズが、こちら。

「ドゥ・ユー・アンダースタン?」

「あんた、わかる?理解できてる?」という意味ですが。学校にいる間は終始「ドゥ・ユー・アンダースタン?」を連呼されていたのでしょう。でもその意味も分からないし、返事をしたくてもできない。

ものすごく過酷な環境です。

救いだったのは、この状況をシリアスに捉えていなかったこと。

大らかな性格の母は、「ハヴ・ファ~ン!」なんつって、毎日明るく子供たちを学校に送ります。兄も私も、のほほんとした性格です。日本人が他にいないので、「君たちなかなか辛い環境にいるよ」と教える人もいない。

「そんなもんか」と思って1年過ごせば、そのうち耳が英語に慣れてきます。ですが、そんな中でやるべき大切なことが、2つ。

小学生ともなれば、ちょっとしたプライドや羞恥心も出てきますが、そんなものは何の役にも立たないので、早々に捨てます。ポイッ。

次に、想像力を極限まで発揮します。顔の表情や声色から、相手が言っていることを想像できないと、日常生活がいろいろと大変です。

明るく、楽しく、元気よく!とまではいかなくとも。

焦らず、腐らず、根気よく学校に通い続けることが、大切です。


【ステップ3】一人でぶつぶつ。一緒にぶつぶつ。

耳が英語に慣れてくると、よく聞くフレーズや、気になるフレーズが自分の中に溜まってきます。
それを、ぶつぶつ、ぶつぶつ、口から吐き出す、というのが次のステップ。

私も兄も、ある時期から英語の独り言が増えたそうで、「二人ともだんだん英語でぶつぶつするようになったのよね」と、母が言ってました。

我が娘も、少し前からこのぶつぶつフェーズに突入。

ぬいぐるみを集めて、ぶつぶつ英語で話しかけたり。まだ文字は読めないのですが、絵本を開いてぶつぶつ、ぶつぶつ、読むふりをしたり。

こういう時間は、自分の世界にどっぷり入り込んでいます。

可愛いので、ぶつぶつの様子を盗撮したりするのですが、見られていたことに気付くと猛烈に照れます。練習を見られるのって、ちょっと恥ずかしいですよね。

一人ぶつぶつに飽きると、今度は二人でぶつぶつしたくなる。

私の場合は、英語力が同レベルの兄がいたので、しっちゃかめっちゃかの英語をお互いにぶつけあっていました。

でも、娘の相手になるべき息子はまだ2歳。
「Thank you=ありがとう」「Oh, Man!=なんてこったい!」「Garbage Truck=ゴミ収集車」くらいしか英語力がありません。

そんなヤツでは物足りないとばかりに、娘は私や夫に「英語でしゃべろう」と誘ってくるので、最近の我が家はみんなでぶつぶつ英語祭りです。


【ステップ4】あとは飛ぶだけ!

英語を聞き取る耳が出来た。英語のぶつぶつも、出始めた。
ここまで来たら、あとは実践あるのみ!

そうそう。先立って捨てたプライドと羞恥心ですが、ヤツらは何度でも生えてくるので、念のため、もう一度捨てておくといいでしょう。

間違っても、笑われても、何となくそれっぽくしゃべり続けることで、使えるフレーズがどんどん増えていきます。

「魔女の宅急便」でトンボがキキを乗せて自転車を漕ぐ、あのシーンのように。最初は重くて、ひと漕ぎひと漕ぎが大変ですが、ある時点からはスイスイスーイ!

こうなるともう、止まりません。

英語で話してみる、友達ができる、新しいフレーズが入ってくる、そのフレーズを早速試してみる。このグッドスパイラルに入れたら、あとは待つだけ。バイリンガルの出来上がりです!


しかし、この学習方法だと文法はチンプンのカンプンです。フレーズで英語を身に着けているので、「現在完了形」とか言われても、困っちゃう。

読み・書き・文法は一旦脇に置いて。
幼少期に英語を喋れるようになるってこういうこと!という実態を、個人的見解たっぷりにまとめてみました。


このnoteを書いていて、改めて気付いたのですが。
なんか、獅子の子落とし、みたいじゃないですか?

バイリンガルに「育てる」というより、必要な環境を用意したら、あとはバイリンガルになるのを「信じて待つ」といった雰囲気。

もしかしたら、英語の荒波に子供を突き落とす、という親の度量が一番大切なのかもしれない。

だから今日も私は、子供たちを現地校に放り込むのです。
明るく笑顔で「ハヴ・ファ~ン!」なんつって、ね。

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