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どんな企業がHRBPを導入すべきか?

昨今、HRBPの導入ニーズが高まっています。

まだHRBPを置いていない企業も、「そろそろ自社にHRBPを導入すべき?」と悩まれている方もいらっしゃることでしょう。

各社とも状況が様々ですので、HRBP導入可否を判断するポイントが明確にあるわけではありません。

ただ、HRBP導入が成功している企業を見ると、最低限答えるべき論点として、次の3つが見えてきます。




論点① HRBPが必要となる成長ステージにいるかどうか


第一に「その企業がHRBPを必要とする企業の成長ステージにいるかどうか」を見極める必要があると考えます。

HRBP導入のきっかけのひとつは、事業の多角化です。企業が成長する中で、単一事業から複数の事業へと拡大する際、組織ごとに異なる課題が顕在化してきます。その際、人事部門が各組織の状況を把握しようと試みますが、事業の数が多ければ多いほど、その難易度が高まるものです。このとき、HRBPを導入するかどうかの検討が始まります。

例えば、インターネット関連企業の株式会社ディー・エヌ・エー(以降、DeNA)は、HRBPを早くから導入した企業のひとつとして知られています*1。

DeNAは事業の多角化をきっかけに、HRBP導入に踏み切りました。DeNAはこれまでゲーム事業とEC事業の二本柱で成長してきました。しかし、中長期的な成長を見据え、近年、ヘルスケア事業やオートモーティブ事業など、新たな領域への事業拡大を進めています。

こうした成長を志向する中で、それぞれの事業で求められる人材像や組織課題が異なるのは、事業内容を詳しく知らなくとも容易に想像が付くでしょう。まさにDeNAは人事部門による画一的なサポートに限界を感じ、各事業に応じた課題解決に取り組んだのです。

このように、企業がHRBPを導入すべきかどうかを判断する際、自社がHRBPを必要とするステージにあるかどうかを慎重に評価することが重要だと考えられます。


論点② 現状、迅速かつ柔軟に対応できる人事体制か


第二に「激しい環境変化の中に置かれた組織を、迅速かつ柔軟にサポートできる人事体制になっているかどうか」も重要なポイントです。

例えば、仮に論点①で示した事業の多角化が進んでいたとしても、人事部門が各事業の状況を的確に把握できていれば、HRBPを導入する必要はないと考えます。実際、複数の事業を展開する企業でも、人事と事業の距離が近く、取り巻く環境変化に対して適切にサポートできている企業も多く存在します。

一方で、事業の数がそれほど多くなくとも、特定の事業領域が激しい環境変化に直面している場合、HRBPを導入する意味があるでしょう。例えば、グローバル化やデジタル化が進む業界で競争している事業などです。こうした領域で事業成長を進めるためには、より現場の動きと連動したサポートが必要になってきます。

このように、変化に柔軟かつ迅速に対応する組織運営を行う必要があるときは、HRBPの導入が有効だと考えられます。


論点③ 人事部門は、現場から信頼されているか


最後に、「人事部門が現場から信頼されているかどうか」は重要なポイントだと考えています。

流行に流されて安易にHRBPを導入しても、現場の理解や支持を得られなければ、その効果は限定的です。むしろ、現場から信頼されていない状態で、トップダウンでHRBPの導入を進めると、現場の反感を買ってしまう可能性すらあります。

現場から見える人事部門は、現場のことを分かっておらず、距離を感じる存在としてしばしば見られます。こうした認識を持たれている中で、人事部門がいくら「事業に寄り添う」とて現場に出てきても、その動きが好意的に受け入れられることはあまりないでしょう。

このようにもし人事部門が現場からの信頼を得られていないなら、HRBPを導入するよりも、信頼獲得のための努力をすべきでしょう。人事部門が本来果たすべき役割を全うすることで、現場からの信頼を獲得することが先決です。

その上で、現場からHRBPに対するニーズが高まった時点で、HRBPの導入を検討するのが妥当だと考えられます。


(参考情報)

*1 リクルート・マネジメント・ソリューションズ「HRBP導入は事業の多角化がきっかけ」https://www.recruit-ms.co.jp/issue/case/0000001066/(2024年6月30日アクセス)


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