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成功した起業家が実践する5つの原則ーーエフェクチュエーションとは?

米経営学者、サラス・サラスバシー氏が唱えた、成功を収めた起業家の共通思考プロセスや行動様式のことを言います。

エフェクチュエーションは、全部で5つの原則から構成されます。中身を見ていきましょう。


エフェクチュエーションの5つの行動原則とは?


エフェクチュエーションは、成功した起業家たちが実践してきた手法や考え方を体系化し、他の起業家やビジネスリーダーにも適用できるように整理したものです。次の5つの原則からなります。

原則1 「手中の鳥」の原則(The Bird in Hand Principle)
目的を達成するために新しいアイディアを考えたり、新たに能力を獲得するのではなく、既存の手段から何ができるかを考えること。


原則2 「許容可能な損失」の原則(The Affordable Loss Principle)
いくらまでなら損失が出ても致命的にはならないかを決めるなど、あらかじめ許容範囲のリスクを設定すること。


原則3 「クレイジーキルト」の原則(Crazy-Quilt Principle)
自身を取り巻くステークホルダー(従業員、取引先、顧客など)をパートナーとして捉え、パートナーの資源を活用しながら価値を生み出すこと


原則4 「レモネード」の原則(Lemonade Principle)

不測の事態に直面したときは、それをチャンスと捉えて最大限活用すること


原則5 「飛行機の中のパイロット」の原則(Pilot-in-the-Plane Principle)
前述の4つの原則を網羅した原則であり、チャンスを待つのではなく、自らがコントロールできることに集中して臨機応変な行動をすること


なぜ、この5つの原則が重要なのか?


詳細は原著に譲るとして、改めて、なぜこの5つの原則が重要なのかを概観してみましょう。

Sarasvathy, Saras D.(2008)Ef fectuation: Elements of entrepreneurial expertise, Edward Elgar(加護野忠男. 監訳,高瀬進・吉田満梨訳『エフェクチュエーション:市場創造の実効理論』碩学舎,2015)

既に明らかである通り、大企業とは異なり、スタートアップは競争で勝ち抜くためにスピードが何より重要です。

通常、大企業は具体的な目標を設定し、顧客や競合などを明確に定め、戦略を策定し、それに必要なリソースを配分します。これらの戦い方は環境変化が緩やかで、将来の先行きが見通せ、大なり小なりの変化にも耐えることのできる組織に適しています。しかし、弱者であるスタートアップには異なるアプローチが必要です。

こうした背景を踏まえると、「まず何を達成したいか(目的ドリブン)」と同時に、「今、何ができるか(手段ドリブン)」も重要でしょう(原則1)。手段ドリブンのアプローチも採用するなら、やみくもに突き進むのは少し危険です。ある程度の許容範囲を設けながら実行することが重要でしょう(原則2)。さらに実行の過程で、未知の顧客や競合を意識するのではなく、今(あるいは将来的)に影響を与えるステークホルダーを意識し、自社のビジネスを助けてくれる存在として認め、活用する発想も大事でしょう(原則3)。また、このようなアプローチを取ると、新たな手段を手に入れたり、次の目的が設定されたりします。こうした偶発的な出来事も取り入れることも効果的です(原則4)。

さて、この一連のプロセスを見るとお気づきの通り、大事なのは不確実性の高い環境の中でも、とにかくコントロールできるアクションに集中して次々と手を打ち、その中で得た次なる可能性をもとに道を切り拓いていくのがわかるでしょう(原則5)。

このように、エフェクチュエーションの考え方は、従来大切にされてきた思考・行動とは異なるものです。成功した起業家の原則を他のビジネスリーダーも実践することで、新しいビジネスの創造や成長を促進し、市場や社会への価値提供を実現することができると思います。

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