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小川志津子の文。

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20年来取り組んだライター職を離れた派遣社員が、日ごろ見聞きし感じたことを記す随筆マガジン。
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2020年10月の記事一覧

大切なものは、少ないにこしたことはない。

大切なものは、少ないにこしたことはない。

去年の今ごろ、かなりの断捨離をした。

根っからの引っ越し嫌いで、何なら一生ここで暮らしたっていいやと思っていたのに、アパートの床から水が出たのだ。業者さんが見てくれたところ、原因は床の老朽化で、だから床を全部ひっぺがして、ベランダの給湯器から風呂場に向かって部屋を縦断している管をなんとかしないといけないらしかった。

「だから、1日2日かけて、床全体を張り替えますんで!」

まじか、と青くなった

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日常は、うれしくも寂しい。

日常は、うれしくも寂しい。

ふいに、こういうことを、書き留めておきたくなったのだ。

朝起きる。顔を洗い、歯を磨く。服を着替え、髪の毛を整えて、顔にある程度のいろいろを塗りたくる。家を出て、毎日決まった目的地へ向かう。

会社に着く。すでに席にいる面々は、毎日だいたい決まっている。大きすぎず小さすぎないボリュームで、おはよーございまーす、とつぶやきながら自分の席に向かい、パソコンのスイッチを入れる。起動するまでのあいだに、手

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あなたはもう「一員」にならなくていい。

あなたはもう「一員」にならなくていい。

今思えば、それは幼い頃から始まっていたのだ。

「1年生になったら、ともだち100人できるかな。」

そんなような歌を繰り返し繰り返し歌わされて、私たちは「友達をつくること」が至上命題であるかのように思って育った。

「友達がいる」ことが是であり、「友達がいない」ことは非であると、それはそれは全方向から植え付けられながら大きくなった。

クラスという名の集団。部活という名の集団。なんらかの「一員」

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