見出し画像

「クリティカルシンキング」と「ロジカルシンキング」の違いと、重要性を考える。

「なぜこのビジネスは失敗したのか?」
「この商品を開発する意味は何か?」
「本当にこの業務をすれば業績がアップするのか?」 

日々、ビジネスを運営している中で、このような疑問を思い浮かべることがあるのではないでしょうか。

例えば、皆さんがある食品メーカーの従業員であったとします。

今回「春の新作スイーツ」を発売することになり、何ヶ月も前から試作を重ねた結果、ようやく納得のいく商品が完成!絶対売れるはずであると、商品発売日を楽しみにしていたのもつかの間、当初予定していた売上には到底及ばず、「春の新作スイーツ」は失敗に終わってしまいました。

このような状況になった場合、皆さんならどのような観点でこのビジネスと向き合うでしょうか?

おそらく、失敗の「要因」を洗い出して、論理的に解決策を提示していく、と答える方が多いと思います。

もちろん、この工程は必要であり、大変重要ですが、これに加えて、

「どうして失敗に終わったのか?」
「なぜ春に新作スイーツの開発をする必要があるのか?」
「そもそもスイーツというジャンルを選んだのはなぜか?」

など、ビジネス自体に疑問を持って根底から探っていくことが、ビジネスの本質を見直すきっかけにつながります。

そこで、今回は2020年に必要なビジネススキルトップ3に選ばれた「クリティカルシンキング」について考えていきたいと思います。

この考え方は、ベンチャー企業やスモールビジネスを成長に導いていく上で、非常に重要な思考法の一つとなります。

クリティカルシンキングにスポットライトが当たっている理由とは?

ではなぜ今、クリティカルシンキングにスポットライトが当たっているのか、という部分から整理していきたいと思います。

クリティカル(critical)は、直訳すると「批判的」ということです。

これを聞くと、非常にマイナスなイメージを持たれてしまうかもしれません。

しかし、クリティカルシンキングにおける「批判的」の意味は、決して相手の意見を否定するということではなく、批判的視点を持つことで「より実践的な」意見へと近づけていくということがあるのです。

クリティカルシンキングは、ある問題に対する「答え」を導く過程において、従来の固定概念や主観にとらわれることなく、「なぜそうなるのか?」「本当にそうなのか?」というような批判的・客観的視点を持つことによって、「真の答え」を見つける思考法のことをいいます。

つまり、「物事の本質をとらえる考え方」を実践することが、クリティカルシンキングとなります。

この「クリティカルシンキング」は世界的にも注目されており、公益財団「世界経済フォーラム(WEF)」の2016年の年次総会では、「2020年に必要なビジネススキル」のランキングで「クリティカルシンキング」が2位となりました。

【参考】世界経済フォーラムとは?|2020年に必要なビジネススキルトップ10/BRAVE ANSWER

クリティカルシンキングがビジネス業界で注目を浴びるようになった理由の一つには、「価値観の多様化」が考えられます。

今までは、単に「高性能」「低価格」というような明確な基準に合わせて製品やサービスを提供していくことが、ビジネスの成功に繋がっていました。

しかし、時代の変化とともに人々は多様な価値観を持つようになり、単純に1つの基準に合わせたビジネス展開では、成功は得られなくなりました。

そのため、時代の流れに合った意見を客観的に判断できる「クリティカルシンキング」にスポットライトが当たるようになり始めたと言われています。


クリティカルシンキングとロジカルシンキングの違い

クリティカルシンキングとの比較に「ロジカルシンキング」がよく挙げられます。

ロジカルシンキングは、言葉の通り、「物事を論理的に考えていく」ことで問題解決する思考法のことをいいます。

例えば、「売上」や「コスト」というようなデータをもとにして論理的に問題を解決するのがロジカルシンキングですが、ロジカルシンキングの基礎となっているデータに関して「どうしてこの売上になったのか」「コスト削減の方法はないのか」というような本質的な部分について考えるのがクリティカルシンキングです。

どちらの思考法が正しいということではなく、両方をうまく使いこなしていくことで、より効果が発揮されます。 

クリティカルシンキング

ロジカルシンキング

クリティカルシンキングの基本的な考え方とは?

クリティカルシンキングには、以下の基本的な考え方があります。

01 目的は何かを常に意識する
クリティカルシンキングの基本的な考え方としては、「何のために考えるのか」を常に意識して、目的を明確にすることが必要です。
目的を見失ってしまうと、問題の一部にしかスポットライトが当たらなくなったり、問題点に対して、やみくもに検討してしまいがちです。
そのため、本来の課題が解決できなくなる恐れがあります。
正しく考えるためには、「本当の目的は違うところにあるのではないのか?」「今、この問題について考える意味は何なのか?」というような【考える習慣】をつけることが大切です。

02 自他に「思考のクセ」があることを前提に考える
クリティカルシンキングの基本的な考え方としては、自他に「思考のクセ」があることを前提に考えることが必要です。
「思考のクセ」は、人間が誰しも持っているものです。

これを把握するためには、他の人の「思考のクセ」を理解すること、そして自分自身に関しては客観的に自分を眺める意識を持つことが大切です。
「思考のクセ」が把握できれば、相手と前向きな対話ができたり、自分にない視点に触れられるようになったりします。
その結果、建設的に考えを高めていく議論をすることができるようになります。

問い続けることの重要性

クリティカルシンキングの基本的な考え方としては、問い続けることが必要です。

何らかの結論に達したと思っても、そこで思考を止めることなく、その先の「なぜ?」「その意味は?」というような疑問に向き合い続けることが、クリティカルシンキングにおいては重要なポイントです。

これによって、今まで見えていなかった問題や、気づけていなかったチャンスを発見できます。

当たり前であると思い込んでいたことでも、クリティカルシンキングで問い続けていけば、考える力・考える習慣がついていくため、どのような結果に対しても、常に疑問を持ち続ける姿勢が大切です。

基本姿勢

クリティカルシンキングを実践するためのステップとは?

ここでは、クリティカルシンキングを実践するための4ステップについてご紹介します。

01 目的とゴールを明確にする
目指すゴールを明確にするために、
「どのようなことがしたいのか?」
「どのような状況を実現させたいのか?」
「なぜそれをやりたいのか?」
というような問いを自分に投げかけ、客観的思考を実践していきます。

その結果、目指すゴールとそのレベル、達成期限がより明確で具体的になります。

02 現状を分析する
最初のステップで設定したゴールや達成期限の実現に向け、現在の状況がどのようになっているかを細部にわたって調査するのがこのステップです。
現状の分析を徹底することによって、次のステップに容易に進んでいくため、現時点でどのような状況になっているのかを丁寧に洗い出すことが大切です。

03 課題を発見する
現状と最初のステップで設定したゴールとの間にどのような乖離があるのか、その乖離はどの程度なのかを、測定・分析します。
ここで見つかった課題に対して、できるだけ客観的な視点・論点から議論を進めていくことがポイントです。
先にご紹介した「思考のクセ」を把握した上で、この作業に取り組めることができれば、より精度の高い議論が展開できます。

04 解決するためのアクションプランを見出す
最後に、解決するためのアクションプランを見出します。
これまで継続してきた思考によって、取り組むべき課題が明確になっていきます。
課題の中でも特に重要と考えられるものを優先して選択し、この課題を
・誰が
・何を
・いつまでに
・どこで
・どのようにして
解決をしていくのかというプランニングを実践していきます。

参考:https://www.kaonavi.jp/dictionary/criticalthinking/

まとめ

今回は、クリティカルシンキングが注目されている理由や、その実践法についてご紹介させていただきました。

現代社会において、ビジネスで成功をおさめるためには「ロジカルシンキング」だけではなく、批判的・客観的な視点を持つ「クリティカルシンキング」が必要不可欠です。

まずは、日々の業務に対して「なぜ?」という問いかけをする癖を付けて、物事の本質を捉える機会をどんどん増やし、共にビジネスの成長を見出だせれば幸いです!

頭の中を整理できるフレームワーク

組織として、「なぜ?」を突き詰めて課題の本質と向き合うことは非常に重要です。
OGSでは、チームビルディングも兼ねて「クロスワーク」というフレームワークを行っています。この取り組みで、チーム内で起きている事象を俯瞰的に見つめ直し、課題に対しての原因や解決策を見出すことができます。


客観的な視点をもち、組織を俯瞰するステップとして、OGSで推奨しているのが、「従業員と経営者の本音ギャップ」を認識すること。

本音が丸わかりになる「従業員の本音と経営陣との意識ギャップ調査シート」はご自由にダウンロードしていただけますので、ぜひ活用してみてください!

↓↓ シートの詳細はこちらから ↓↓

画像4