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「配信解除」まで設計しよう

メールマーケティングに必須だけど日陰の存在、それが「配信解除(配信停止)」です。それについて最近考えています。

サービスの設計には「出口」も含まれるはず

メール施策の設計時、ターゲットや目的、指標(KGI・KPI)、コンテンツ計画などを決めます。私もお客様も、顧客との関係を維持・発展させていこう!という気持ちなので、「サービスの入口」や「顧客との接点」については、悩みながらもノリノリで議論して決まっていきます。

一方、配信解除についてはこんな感じです。

「特定電子メール法で配信解除の動線は必要なので、フッターに入れておきましょう」

薄っ!

もちろん、配信解除率をKPIに設定することもあります。でも、だからといって配信解除について深く議論したことはありません(懺悔…)。

どんなサービスにも「入口」と「出口」があるのに、「出口」についてちゃんと設計できていなかったなと、最近気づきました。設計時、私は手も意識も「出口」まで回っていない。お客様は「出口」から目を背けたい。両者の無意識が妙に合致しているのでしょう。(←半分お客様のせいにしている私)

メールマーケティングのプロがこんなことではいけません!「出口=配信解除」まで設計していこうではありませんか。

「配信解除の設計」ってなんだろう

下記の3つがポイントかな…と現時点では思います。

①配信解除の意味を考えること
②配信解除の動線を最適化すること
③配信解除のデータを施策に活かすこと

①配信解除の意味を考えること

「配信解除率は0.2%以下を目安に」なんてよく言われます。それは一つの基準として大切なのですが、盲目的に「解除率は低いほうがいい、解除されないようにしたい」というのは違うと思うのです。

配信解除にはさまざまな理由があるはずです。

・サービス自体が必要なくなった(育児情報が欲しかったけど子どもが大きくなったので不要になった、部署異動になってミッションが変わったなど)
・サービスに関心がなくなった(趣味が変わったなど)
・登録した覚えがない
・メールが合わない(頻度が多すぎる、ボリュームが多すぎるなど)
・メールのコンテンツに興味がない(役立つ情報がないなど)

特に上の2つは、メールの良し悪しではどうしようもないですし、解除してもらったほうが良いですよね。下の3つも、そういう方は必ずいるものですので、無理に引き止めても仕方がないです。

ただ、施策のターゲットに「合わない」「興味がない」と思われて解除されるのは避けたいです。本来下げるべきは、“ターゲットの”配信解除率なのではないか…。

・配信解除してもらうべき人はいる
・ターゲットの配信解除は避けよう
この2点はどのメール施策でも共通しています。

②配信解除の動線を最適化すること

・配信解除してもらうべき人はいる
この人たちのために、配信解除の動線があるのではないでしょうか。「配信解除してもらうべき人はいる」と考えれば、おのずと解除しやすい動線になるはずです。
メールの中の「配信解除はこちら」の表記がわかりやすくて、ログイン不要で、メールアドレスを送るだけで解除できるのが理想かなと個人的に思っています。
たまに、めちゃ配信解除しにくいメールってありませんか?「とにかく誰もが解除しないでほしい」「絶対阻止したい」そんな気持ちが現れているのかもしれません。でも自分が配信解除する立場のとき、逆効果だなと感じます。最後の最後でめちゃくちゃ印象が悪くなるので…!「迷惑メールフォルダ」に分類されるのがオチですよね。
そんな姑息なことをするより、最後に感謝の言葉を書くほうが、有終の美を飾れます。いつまたその人がターゲットになるかわかりません。配信解除は、縁の切れ目ではないはず。

・ターゲットの配信解除は避けよう
勘違いしてはならないのは…この対策は、配信解除の動線うんぬんじゃないんですよね。「良いコンテンツを、適切なタイミングで送ること」しかないと思っています。配信解除のもっともっと前の段階。
ターゲットであっても、配信解除まできてしまったなら、スッと道を空けたほうがいいです。

③配信解除のデータを施策に活かすこと
配信解除にもさまざまな理由があるわけですが、配信解除数という数字だけでは分析できないですよね。それだと、現状もわからなければ対策も立てられない。
そこで使えるのが配信解除のフォームに「解除理由アンケート」を入れるアイデアです。それを分析すれば、配信解除数に振り回されることなく、建設的に施策を改善していけます。
こういうアイデアをもっと集めて、配信解除の設計の引き出しを増やしたいなと思っています。


配信解除も、顧客との大切な接点です。適切に設計できれば、より愛されるサービスにブラッシュアップしていけると、書いていて思いました。「去るものは無理に引き止めず、でも大切にする」という精神もまた、CRM(※)には大切なのかもしれません。

↓↓こちらの考え方も、配信解除を考えるときの参考になります

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※CRM=Customer Relationship Management(カスタマーリレーションシップマネジメント)顧客と良いつながりを保つ活動のことです。

※この記事は個人の見解、私見です