古代ローマの選挙について

民会とはローマ市民が法案に賛成か反対かを多数決で決める会議のことで、平民会が登場するまでは民会が法案について決めても元老院が法案を認めないと法律にならなかった。民会は貴族会(Comitia Curiata, Curiate assembly)、兵員会(Comitia centuriata, Centuriate assembly)、区民会(Comitia tributa, Tribal assembly)、平民会(Consilia plebis, Plebeian council)の4個の会議があった。

貴族会は神官を選出したり、養子縁組や遺言状の保証のような相続に関することを行った会議で、投票単位は氏族ごとに分けられた。この会議の議長は執政官だった。

兵員会は執政官や法務官を選出したり、戦争をするかどうかの判断を行ったり、極刑に関する裁判を行った会議で、投票単位は財産の階級ごとに分けられた。この会議の議長は執政官だった。一部の金持ちの票だけで過半数を取ることができたので、金持ちの方が有利な仕組みになっていた。

区民会は下級の公職者を選出したり、罰金刑に関する裁判を行った会議で、投票単位は選挙区ごとに分けられた。この会議の議長は執政官だった。

平民会は護民官を選出したり、後にホルテンシウス法が合法になると元老院が認めなくても法律を作ることができるようになる会議で、投票単位は区民会と同様に選挙区ごとに分けられた。この会議の議長は護民官だった。

選挙の方法について、
1:投票は1人1票ではなく、全ての市民がそれぞれの投票単位に分けられ、各単位ごとに投票を集計したうえで、各単位が1票を投じる仕組みだった。
2:開催日の24日前までに主催者である公職者による提案と開催日が公示される。提案の内容は選挙の場合は候補者の名前、立法の場合は法案である。
3:まず、民会(comitia)の前に集会(contio)と呼ばれる事前調査が開催され、法案の場合は提案した人から説明が行われる。公表した日から何回も開かれ、市民の発言や反対意見が交わされた。
4:市民集会が終わった後、投票するための民会が開催され、まず投票資格の無いものが遠ざけられる。例えば平民会の場合は貴族が遠ざけられる。
5:投票は各単位ごと市民たちが「囲い」のなかに入り、一人ずつ「橋」と呼ばれる通路を通って投票のために出てくる。選挙で票を入れる人は投票板を投じた。賛成のときは「提案通り」の頭文字のVが、反対のときは「以前のまま」の頭文字Aが記された投票板を投じる。
6:各単位ごとに票が集計されて、議長である公職者に報告され、その結果は議長が報道官に命じることではじめて公表される。
7:投票は公表を持って正式に有効となるが、主宰する公職者は結果を公表するかどうか自由裁量権を持っていたとされる。

参考サイト


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