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詩作

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2022年7月の記事一覧

詩04 ほんとうの夏

詩04 ほんとうの夏

水曜日
今年はじめて蝉の声を聞いた
たしかに
蝉の声だった

蝉に混じって
こどもの歓声
ボールの跳ねる音
ひとりで蹴り続けているのかもしれない
誰もいなくとも
弾ける声

蝉の声と混じり合って
夏を知らせる

今年は
まぼろしの夏が
6月の終わりにやってきて
しばらく居座った
今日
水曜日
ここからの夏は
ほんとうになるだろうか

今日
水曜日
蝉の声が聞こえた
たしかに
聞こえた

はじま

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詩作03 雨に濡れる

詩作03 雨に濡れる

雨音の中 ねむる
まるで雨に打たれているみたいだ

わざと傘をささずに
歩いたきのうを 思い出す

雫がもみの木に纏わって
クリスマスツリーのようだった

横断歩道をわたる
真っ白い排気ガスが烟る
いまどき珍しい車
わたしはマスクをしているから
大丈夫

観念して傘をさす
両手いっぱいの買い物袋
コンビニはいつでもまぶしい
欲しいものも欲しくないものも
整然として
選択を
いつでも選択を待っている

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詩作02 雨が降ります

詩作02 雨が降ります

雨雲が近づいています
その知らせのあとすぐ
雨が降った

雨の降り始め
ちいさく音が鳴り
木々が
揺れていた

ソファにもたれ
窓のむこうに目を遣る
雨はたしかにそこにあり
雨はたしかに降っている

ほんの10分前
わたしは空の下に居た
空の下に居たのに
いま
わたしは濡れることもなく
雨の姿を
見つめている

降り出しの音は
かすかだった
かすかだったそれは
振り出しの音に
似ている

詩作 街の日

詩作 街の日

街の日

東京は
誰もいない道を探すほうが
むずかしい

よつかど よつかど
どこの角にも人がいて
自転車を漕いだり
連れ立って歩いていたり する

誰もいない
誰もいない手触り
誰もいない道を
思い出す

草いきれ
燃す田畑
堆肥 羽虫
空回りする車輪
止められない歌声

全部
思い出す
誰もいない手触り
忘れたくない思い出
忘れられない思い出

誰もがいるこの場所で
誰もいないあの道を
撫でさ

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