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ヒヨコ|大道芸人×畳細工作家【パラレルアーティスト図鑑#1】

こんにちは。
クリスタルマジシャンのMichelです。

NPO法人日本アーティスト協会では、若者やアーティストのキャリア支援をおこなっています。 
特に、セカンドキャリアに苦労するアーティストの将来の課題を解決すべく、早期からのパラレルキャリアを推奨しています。

このマガジンでは、2つの全く異なるジャンルの仕事を掛け合わせて生きる、パラレルキャリアを実践している方のインタビューを掲載していきます。

記念すべき第一回は、プロの大道芸人でありながら、畳細工作家としても活躍する『大道芸人ヒヨコ』さんにお話を伺いました。

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↑大道芸×畳細工のパラレルキャリアを歩むヒヨコさん。


●独自のテーマの誕生

Michel『ヒヨコさん、本日はよろしくお願いいたします。大道芸人と畳細工作家、不思議な組み合わせですね。大道芸も畳細工も、一体どのような作品を作るのかとても興味があります。』 

ヒヨコさん『本日はよろしくお願いいたします。どちらも他にはない独自の世界観を作ることを心がけています。例えば大道芸ですが、スチームパンクと呼ばれるSFテーマをモチーフにした道具を自作して演じています。スチームパンクというSFテーマは簡単に説明すると、「蒸気機関が主要動力源のまま世界が発展したらどうなるか?」という世界観です。中世の雰囲気と歯車や真鍮の道具などが混在する独特のジャンルなんです。

Michel『大道芸×スチームパンク、これまでにない組み合わせの表現ですね。それでは大道芸を始めたきっかけは何ですか?』

ヒヨコさん『横浜で幼い頃に母と大道芸を観たのがきっかけです。プロのパフォーマーと して人々を笑顔にしたいという想いが大人になっても消えず、25歳のときに初めて路上で 自分の芸を披露したところからすべてが始まりました。』

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↑スチームパンクの世界観を大道芸で表現し、海外でも活躍。


●好きな世界観を作りこむ

Michel『小さい頃に好きだったものは、大人になっても好きなんですよね。自分の本質を 一番知っているのは幼少期の自分なのかもしれません。スチームパンクの世界を大道芸で 表現するようになったのは何故ですか?』

ヒヨコさん『元々スチームパンクをモチーフにした作品が好きだったのですが、ある時 「スチームガーデン」というスチームパンクファンの方々が集まるイベントに出演したこ とでより深みに触れました。スチームパンクを表現するアイテムや塗装方法などを学ぶ機会やご縁に恵まれ、自分のショーに取り入れていきました。既存のジャグリング道具を真鍮色に塗装したり、一からパーツを作って自作することもあります。何でも自作するのが昔から本当に好きなんですよ。』

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↑道具から衣装まで、自作のものがほとんど。世界観の作り込みの繊細さは圧巻です。

Michel『全て自作する技術とこだわり、畳細工にも通ずるマインドがありそうですね。畳細工はどのような作品を作られているのですか?』

ヒヨコさん『はい、畳を使って仮面やネクタイ、カチューシャやスマホケースなどを作っています。「畳の普通をひっくり返す」というコンセプトの下、「畳返師」という名前で 製作を行っています。

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↑畳で作られた狐面とネクタイ。ネクタイには折り紙手裏剣のワンポイントが。


●興味が2つの芸を繋いだ

Michel『馴染みと温かみがある畳が斬新な姿に生まれ変わっている、懐かしくも新鮮な魅力に溢れていますね。畳細工はなぜ始めようと思ったのですか?』

ヒヨコさん『実はこれもスチームパンクのイベントがきっかけでした。イベントでショー を演じるための衣装でペストマスクを作りたかったんです。型紙は既にあったのですが、 素材を何にしようか決めかねていたところに、偶然、本当に偶然、部屋に持て余していた畳のロールが転がっていたのでそれで型を取って作ったのが最初です。』

Michel『偶然畳のロールが部屋に転がっているという類まれな状況に運命を感じますね…!畳作品は販売を行なっているということですが、作品にかけるこだわりも教えて頂 けますか?』

ヒヨコさん『畳の加工方法や縫い方は、実際に畳屋さんに足を運んで教えてもらいました。普段から「これを畳で作ったら面白いのでは?」という風にアイデアを形にして試作を重ねています。他にもお客様からのリクエストで実現したものも多いですね、畳のカチューシャはお客様のリクエストから生まれた人気商品です。』

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↑畳の常識を覆す、斬新な作品の数々にはファンも多い。


●パラレルワークによる相乗効果

Michel『日本の伝統である畳が、素材として新たな用途に昇華されるのはワクワクしま す。大道芸人と畳細工作家、2つの仕事が相乗効果を生むことはありますか?』

ヒヨコさん『相乗効果は常に生まれています。同じイベントで畳細工でのイベント出店と大道芸人としてのショー出演を同時にこなすことが多いですね。他にもラスベガスで遠征してショーを行った際、自作の畳細工を衣装に取り入れて演じたところ現地の方に大ウケしたことは忘れられません。国内でも「浅草妖怪ハロウィン」という和のハロウィンイベ ントで自作の畳細工をショーに取り入れています。』

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↑独自の世界観のパフォーマンスに一瞬で魅了され、思わず立ち止まる人も多い。


●日々新しい芸を開発

Michel『純粋な和装とはまた違った遊び心が海外の方のハートを掴むのでしょうね。それぞれの仕事で一番やりがいを感じることは何ですか?』

ヒヨコさん『大道芸はお客様が笑っているときが自分も一番楽しいんです。その笑顔のために自分の世界観をより繊細に表現していきたい一心で日々探求しています。畳細工はイベント等でお客様が自分の畳細工を初めて見て驚いたときや、プレゼントで買われていく方を見送るときが一番の幸せです。SFが好きな奥様に畳の狐面を買って行かれた方は、今では夫婦で毎回イベントに来店される常連さんになって下さいました。』

Michel『大道芸と畳細工、アウトプットは異なれど根底には通ずるものがありますね。2つの仕事における今後の展望を教えて頂けますか?』 

ヒヨコさん『今年からは自分の畳作品を海外にも広く展開させていきたいと考えています。 また、自分のショーの中でも衣装としてだけでなく道具として畳を活用していきたいですね。今は小さい畳の座布団を3枚ジャグリングしたりしていますが、日々新しい芸を模索中です。』

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↑豊富な海外経験を活かし、広い視野で展開を目指している。


●やらない理由より出来るきっかけを探して

Michel『畳作品は海外でも人気が出るはずです!最後にこの記事を読んでいる方、特に若者に向けてメッセージをお願いいたします。』 

ヒヨコさん『ありがちな言葉かも知れませんが、とにかく好きなことを続けて下さい。明日死ぬかも分からない人生で自分だけの世界を表現するのは素晴らしいことです。やらない理由を探して止まり続けるより、出来るきっかけを探してどんどん前に進んでくださ い!』 

ヒヨコさん、この度は本当にありがとうございました。


<インタビュアー>
Michel(ミシェル)
クリスタルマジシャン/ライター/マーケター
[HP] https://michel-magic.com/画像13故郷湘南から国内外の高級レセプション等でショーを演じる、通称『クリスタルマジシャン』。
水晶玉がまるで宙に浮いているかのような錯覚を観客の目前で引き起こす技術”コンタクトジャグリング”において世界トップクラスの精度を誇る。
ニュージーランド在住経験、社会人経験を活かし、ライターやマーケターとしても活動している。
NPO法人日本アーティスト協会 パフォーマンス事業部 マネージャー
フリーランス・アーティストコミュニティ「JAAC」キュレーター

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