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【仮説】営業スキルでものは売れると思う、場合によっては④

2章 バックエンド商材を売ろうとする著者

〇ブランディングのために本を売ること

1章では、研修を中心に触れましたので、2章からは書籍についてのお話をします。
ビジネス書は、よく玉石混合と言われます。
10年ほど前からビジネス書ブームが到来し、あらゆるタイプの著者が出現。
(自分の身の回りにも何人もの著者が出現し、その中には50万部以上のヒット作を出し、一躍時の人として脚光を浴びた人までいました)
その多くは「会社員」としての自分の経験を、幅広く伝えることで人々の共感を呼び、「個人」としての自分に活路を見出していこうという目的で書かれたものでした。
本来は「読者」のためのものであるビジネス書は、いつしか著者のためのものになっていた、そんな変遷を感じたものでした。
(身の回りの著者が書いた本も、「ちょっとしたTIPS集」としては面白く、とても興味深いものでしたが、自分の人生を変えるほどの影響があったかは疑問があります)
ビジネス書ブーム時にデビューを果たした著者は、自らの名前を世に出し、自分の名前で生きていくことを目的としています。そのため、内容そのものが本当の意味で読者のための本になっているかは、よく見定めないといけません。
(誠実な本もあるかもしれませんが、盲目的に信用できるとは限らないのが現状です)
一歩間違うと、読者にとってのマイナス面が存在する“商材”ではありますが、それを踏まえたうえで先に進めて参りたいと思います。


〇読者限定ご招待セミナーに参加する

ビジネス書の中に、ちいさなチラシが入っており、
「先着50名様限定 定価5,000円のセミナーに無料でご参加できます」
といったものを見かけることがあります。
実際に、何度も参加したことがありますが、
「この内容を読者限定で無料ならいいな」
というものから、
「高額商品を売ろうという魂胆が見え見えで、正直うすら寒いな」
というものまで、あるように感じます。
しかし、いずれのケースにおいてもバックエンドの販売を目的としていることには変わりがなく、悪い言い方をすれば、読者を食いものにしているのです。
その後のしつこいフォローや勧誘があるナシは別にしても、その著者の熱狂的なファンでもなければ支払えないような価格帯のバックエンド商品であることが多いのは事実です。

〇著者はどんな人?

著作物は通常、丁寧な文体で書かれているため、仮に実物が「少し荒っぽい印象の人物」だったとしても、読者は何らかのかたちで著者と対面しなければ、気づくことはありません。
そもそも、ビジネス書は著者自らの手で書いたものは割合として少なく、その多くはライターの手による「口述筆記」で作成されたものです。
そのため、実際に会った時に、違和感があることも少なくありません。著作物ではマイルドに表現されている話は、実際には、ものすごく毒を感じてしまうことも多いのです。
ぼんやりと、
「こんな素敵なことを伝えられる著者なら会ってみたいな」
程度の認識で出向くと、異様な勢いの本音トークと、帰り際にバックエンド商品の売込みに会うということも少なくありません。
「会ってみて本の印象がさらに良くなった」というケースに比べて、「お会いしない方が良かったかな」というケースの方が多い印象です。




〇著作以上に得られるものはあるのか?

まったくの未経験者が、ビジネス書を出すための出版セミナーでも、よく言われる話です。
(その証拠に、いくつかの出版プロデーューサーから、同じ話を聞いた経験があります)
「最初の著作でノウハウを出し切ってください。そのノウハウを再現できる人は、ほぼいないのです。それを再現したい人が、あなたのセミナーを受講し、あなたの売りたいバックエンド商品を買ってくれるのです」
これを聞いた人(ビジネス著者予備軍)は、
「なるほど、そうかそうか。自分のノウハウを出し切っても問題ないな」
となるわけです。
そのため、著作の中で、(一部のどうしても伏せておきたい話を除き)著者の見知った話を出し切ってくれるでしょう。そのうえで、さらに、
「お伝えしたい話があります」
と打ち出して、セミナー、メルマガに誘い、最終的には数十万円する高額商品の販売につなげているのが実情だと思います。

〇本当に、本の中でノウハウを出し切っていないのか?

読者は、ここでも改めて冷静になってほしいのです。
「自分は、ただ単に著作を繰り返し読み、重要なところを書き写し、1,500円分のノウハウを吸収する努力を怠っていないだろうか」と。
著者は、自分が魅力的な存在に見えるように、機密事項など以外のノウハウは著作の中で出し切ります。出し切ったうえで、自分のビジネスのために集客を図るのです。
(この集客に関するテクニック、ノウハウこそが実は営業につながる部分であり、私たちが学ぶべき部分なのかもしれません)
ここで考えてみてください。もし、自分が営業マンとして、お客様から相談を受けたとして、問題解決に向けてのノウハウを出し切らずに対応するということは、ありますでしょうか。全部出し切ったうえで、自分(もしくは自社)が魅力的だというアピールにつなげるのが通常だと思います。それは、著者も同様なのです。
それであるならば、すこし手間ではありますが、著作そのものから学べるだけ学びつくし、それでもさらに直接話が聞いてみたいのであれば、セミナーなどに参加するのも1つの手であると思います。その際には、盲目的に話を聞くのではなく、著作と比べて著者の人物像や、発言内容は本当に信用できそうかということにも着目してみてください。

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