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ゲーミフィケーションで人々の行動変容を促す

脱炭素社会の推進において、消費者の行動変容を促すための取り組みとして、ゲーミフィケーションという手法が有効であると言われている。
ゲーミフィケーションとは、ゲームの要素やデザイン手法を活用し、ユーザーの参加意欲を高め、行動を促進することを目的としている。昨今、さまざまな分野でゲーミフィケーションが活用され、ゲームをクリアする楽しさや達成感を味わわせることで、「もっと取り組みたい」という意欲を湧かせる。

日本ゲーミフィケーション協会では、ゲーミフィケーションの仕組みとして、6 つの要素を提示している。「能動的な参加」、「称賛を演出」、「即時のフィードバック」、「独自性の歓迎」、「成長の可視化」、「達成可能な目標設定」である。全ての要素を取り入れる必要はなく、活動や対象者に合わせて適した要素を組み込むことで、様々な活動のゲーミフィケーションに取り組むことができる。
能動的な参加
ゲームは自分がやりたいときに始められ、やめたいときにやめられる。初級、中級、上級といった難易度が選択できるものも多い。自分が最も楽しめるモードで取り組めるということが人間の活動には大きな意昧を持つ。また、ストーリーや世界観、キャラクターなどの魅力によりプレイヤーをゲームの世界に引き込むことで期待と興奮を設計し、継続的な参加を促す。
称賛を演出
ゲームではステージをクリアすると「GREAT」という表示とともに効果音が鳴ったリ花火が上がったりする。自分の成功がきちんと認められるということがやる気を生み出す。
即時のフィードバック設計
ボタンを押すと主人公がジャンプするなど、ゲームでは操作に対する反応が画面からすぐに返ってくる。こうしたフィードバックが快感と安心をプレイヤーにもたらす。
独自性の歓迎
主人公に自分好みの装備を施すことは、分かりやすい自己表現であり独自性であるが、その他にも、友達の気づかない攻略法を見つけ出したり、試行錯誤の末に自分なりの工夫をしたり、目標をクリアすることもゲームの大きな魅力である。厳然たるルールが存在するがゆえの快感、満足感を与える。
成長の可視化
ゲームでは頑張った分だけレベルが上がり、自分の分身でもある主人公の見た目が変わるなどして成長を確かめられる。
達成可能な目標設定
RPG(ロールプレイングゲーム)では、最初に出現する敵は弱い。主人公の成長に合わせて敵も強くなっていくが、工夫と頑張りで必ず倒せるよう設定されている。頑張れば破れる壁であることが重要である。

マーケティングや拡販におけるゲーミフィケーションの活用メリット
ゲーミフィケーションの活用により、製品・サービス自体の利用促進や、製品・サービスを提供している自社ブランドの理解促進や購入の促進等の効果が期待されている。
1. 顧客エンゲージメントの向上

  • 楽しい体験の提供: ゲーミフィケーションは、楽しさや挑戦感を提供することで、消費者が積極的に参加したくなる環境を作り出す。ゲームの要素を取り入れることで、ブランドや製品に対する興味が持続しやすくなる。

  • インタラクティブな体験: 消費者が積極的に関わり、フィードバックを得ることで、双方向のコミュニケーションが促進され、ブランドに対する親近感や信頼感が高まる。

2. ブランド認知の拡大

  • バイラル効果: ゲーム要素がうまく設計されていると、消費者がその体験を他の人にシェアしたくなる。これにより、自然とブランド認知が広がり、口コミ効果が生まれる。

  • ユニークな体験の提供: ゲーミフィケーションは、他ブランドとの差別化要素となり、消費者にとってブランドがより印象深いものになる。

3. 顧客ロイヤルティの向上

  • リワードとインセンティブ: ポイントやバッジ、リーダーボードといった要素を活用することで、消費者はブランドとの接触を繰り返し、結果としてロイヤルティが高まる。リワードプログラムは、消費者が継続的にブランドと関わる動機付けになる。

  • 進行状況の可視化: ユーザーがレベルアップやバッジ獲得など、自分の進行を視覚的に確認できると、達成感を感じやすくなり、ブランドへの継続的な関与が促進される。

4. データ収集の促進

  • ユーザーデータの取得: ゲーミフィケーションを通じて、消費者がどのように行動するか、どの製品やサービスに興味を持っているかなどのデータを収集することができる。このデータは、ターゲティングやマーケティング戦略の最適化に役立つ。

5. 購入意欲の喚起

  • 即時報酬とプロモーション: ゲーム内での成功や進行に応じて、クーポンや特典を提供することで、消費者の購入意欲を高めることができる。限定的な報酬や期間限定のオファーは、消費者に迅速な行動を促す。

6. 学習効果の向上

  • 製品やサービスの理解を深める: ゲーミフィケーションを通じて、消費者にブランドや製品についての知識を楽しく学ばせることができる。これにより、消費者は製品に対する理解を深め、購入につながる可能性が高まる。

7. 顧客体験のパーソナライズ

  • カスタマイズされた体験: ゲーミフィケーションを通じて、消費者ごとに異なる体験を提供し、個別のニーズに対応することができる。パーソナライズされた体験は、消費者の満足度を高め、ブランドとの関係を強化する。

※株式会社テックシンカーは、環境配慮型製品・サービスの拡販やマーケティングにおけるゲーミフィケーションの活用を支援いたします。

出典:平本 督太郎, 他:世界に広がる気候不安と解決策としてのヘドニスティック・サステナビリティに基づくゲーミフィケーション手法を用いた社会変容, Beyond SDGs Innovation Research, Vol.04 No.06

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