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在宅勤務を求めつつ対面の価値も認める

宣言解除でようやく禁酒令が解けたかと思ったら、自分の職場の在宅勤務も終わる通達を受け取り、「良いことも悪いことも表裏一体だったのか」と感じた。←この気持ちすらデジャブ感があり、あと何度かは繰り返す予感もある。

くだんの事態を「禍」すなわち災いとみなすよう、制限されたこともたくさんあった。その中で唯一の善い事として挙げられるのが、働き方の選択肢が増えたことだろう。「やむを得ず」とは言え変革が迫られ、在宅勤務やタイムシフト勤務が許された。

「禍」が過ぎ去っても、広がった働き方の選択肢は定着したらいいなと、勝手に期待しては裏切られる。製造業の経営層なんて、トランスフォーメーションやら何やら言うてもマインドは工場のままなので、「出社せず働ける訳ないだろう」と思っているのだ。

あまりシリコンバレーを崇めるのもどうかとは思いつつ、あのアマゾンでさえも「出社に戻す」という検討があったのだから、どこの経営層も本音では出社させないと管理できた感がなくて不安なのだろう。

多くの企業が新型コロナウイルスの感染収束を前提に今秋にも出社に戻す検討を進めてきたが、一部社員が反発。アマゾン・ドット・コムは10日、「週3日出社」を原則とすることを社員に伝えた。

結果的に労働者の意見が取り入れられているのは、転職の流動性が高いため人材確保が経営課題に挙がりやすいからだろうか。経緯はどうあれ、週2~3日出社あたりに落ち着くのは妥当だなと感じる。「在宅でもイケます!」と啖呵を切りたいところ、悔しいけれど顔を合わせた方が早い種類の仕事はある。

実験設備やら大型装置の開発など、モノに縛られるお仕事であれば出社はやむを得ないとして、パソコンに向かうお仕事の多くは工夫すれば在宅でも対処できる。多人数での分業やワークショップに関して、ツールの整備が追い付いてきた恩恵もある。対面には劣るとしても、会議室探しや新幹線移動と比べれば、費用対効果が釣り合う。

ただ、ツールの進歩で何ともならないのは、お仕事が発生する瞬間なのかなと感じる。それは、廊下でバッタリ会った時の立ち話かもしれないし、ミーティング前後の雑談かもしれない。わざわざミーティングに召集する程のことでもない「あの人があんな事で困ってたみたいだよ」と「それなら、あの人が得意みたいだよ」を結び付けるところ。

在宅では満たしにくい要素は「セレンディピティ」とでも呼べるだろうか。仮想空間を彷徨って偶然出会うソリューションとかも出てくるだろうけれど、プロジェクト管理ツールやオンラインワークショップツールと比べれば、まだまだシックリ感が追い付いていないように感じている。個人の所感まで。

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