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アウトプットとインプットって逆じゃない?

この記事では「インプットだけでなくアウトプットも大事だよ」みたいな話は一切せず、「アウトプットとインプットって逆じゃない?」という違和感を投げかける。おそらく「豆腐と納豆って漢字が逆じゃない?」くらい理解されにくい違和感だと思う。入力と出力の解釈から展開して、その境界であるインターフェースの話など。

note投稿はソフトウェア工学で言うインプット

今パソコンのキーボードを叩いて連日更新25日目のnoteを書いている。「アウトプット量が凄いですね!」と言うていただくと嬉しい一方で、引っかかるのはnote投稿はソフトウェア工学で言うとインプットだということ。

入力機器(にゅうりょくきき、英語: Input device)とは、コンピュータや情報機器などの情報処理システムへデータと制御信号を入力するために使われる周辺機器(ハードウェア機器の一部)である。入力機器の例としては、キーボードやマウス、イメージスキャナ、デジタルカメラ、ジョイスティックなどが挙げられる。

今や「キーボード入力」とわざわざ意識しないけれど、浸透しきっていない「音声入力」に関しては、やっぱり入力と明言する。ほら入力じゃないか。

そうは言っても、「アウトプット大全」なる書籍の中で重要さが強調されるアウトプットは、ディスプレイ出力やスピーカー出力の話ではなく、まさにnoteを書くような話だろう(読んでないから知らんけど)。

音声でnote執筆すると「音声入力でアウトプットする」みたいな表現になって、だいぶややこしい。

システム工学で捉えるとスッキリする

システム工学で言うところの:

システム(system)は、相互に影響を及ぼしあう要素から構成される、まとまりや仕組みの全体。

「開かれたシステム」の説明として、入力と出力についての言及がある。

システム外部からの入力を受け付けたり、システム外部への出力を行ったりするシステム

あるシステムが外部に向かって出力したものが、相手のシステムにとっての入力となる。開かれたシステムによる人間機械系を図示するとこのようになる。

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note執筆が入力なのか出力なのかは、どちらの視点に立つかで相対的に変わる。図の左側に着目すると、人間にとっての出力が、機械にとって入力として接続される。人間の能力を高めるという文脈では「アウトプットが大事」と言い、コンピューターに関する文脈では「キーボード入力」と言う。

あるべきユーザーインターフェース

我ながら自分の仕事は謎だけど、少なくとも私の所属部門はUI/UXデザインの役割を担っている。このUIというのはユーザーインターフェースの略で、人間機械系の図で言えば点線部分のデザインと言える。

note執筆に使うキーボードを「入力装置」と呼ぶ時点で機械視点だし、現にプロダクトとしてもカタい機械である。境界にあるべきが機械寄りに思える。もっと入力・出力、人間・機械への偏りが無い、中庸なUIが存在しても良いんじゃないか。

図の点線はどんなに細く描いても幅を持つけれど、本来の境界線は幅を持たない。むしろ存在しないのがインターフェースの究極じゃないか。もっと理想の在り方が発掘されていないんじゃないか...などと妄想する。

私には究極のUIを発掘するデザイン力は無いけれど、書籍「融けるデザイン」は近いテーマを扱っていて、未来のUIの兆しが感じられて興味深かったので #推薦図書 として挙げる。

UXデザインにおけるI/Fはプロトタイピング

先に挙げたシステム工学の人間機械系では、人間が制御装置や目標値を設定することで、制御対象である工場プラントなどを意図通りに制御することを目指してきた。人間→機械→制御対象。理論体系の中では、出力から制御対象の内部状態を推定できるか(可観測)、入力を与えることで意図通りに制御できるか(可制御)などを解き明かす。

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一方のUXデザインは人工物を扱うユーザーにうれしい感情を抱かせることを目指す。デザイナーは人工物をデザインしてユーザーにぶつけ、使いっぷりを観察することで、定量・定性の両面からユーザーの欲求が何か?それが満たせているか?を把握しようとする。デザイナー→人工物→ユーザー体験

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デザインは一度きりの営みではなく、人工物をアップデートし続けることで理想の体験を目指す。UXデザイナーにとってのインターフェースは、試作して反応を観察することを繰り返すプロトタイピングなのだ。

便宜的にブロック線図を描き分けたけれど、必ずしも綺麗に分かれる訳ではない。「人間機械系のUIデザインに携わるUXデザイナーという職業のUX(EX)について考える」と両方が入れ子になって階層が深くなる。EXデザイナー→UXデザイナー→人工物UI→操作者の体験→物制装置→制御対象

昨今では、デザイン対象が人工物だけではなくてソーシャルへと向かい、あるユーザーが別のユーザーに相互作用する価値循環について考えることになる。考えることを考えることを考えることを...無限ループ!

果たして私がUI/UXデザインが正しく捉えられているかは知らんけど(HCD専門家やけど)、システム工学として捉えたらこうなるかもというお話まで。

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