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短編小説 恋はいつでもハリケーン

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創作短編小説の【恋はいつでもハリケーン】の全6話のまとめマガジンです。
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記事一覧

最終話 どこにも行かないよ

最終話 どこにも行かないよ

今日は会社が休みで、家でゴロゴロしていると妻が掃除機をかける音で起きた。

「ん? もうすぐお昼か〜」という自分の誰に向けたわけでもない独り言に

「そうだよ〜。もう、休みの日でも規則正しくしなきゃ体調崩すよ〜?」と妻が言う。

続けて「午前中の日光は体内時計のリセットだったり、やる気成分のなんちゃらとかいうのが分泌されていい感じになるってテレビでやってたよ〜」と言うが、その説明で『身体にすごく良

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第5話 不思議と何かがぶつかるだけで

第5話 不思議と何かがぶつかるだけで

ショウタはお父さんの手伝いで、水槽の水の入れ替えをやっていてこれなかったと謝ってきた。

「おっくん、ごめん。父さんから小遣いもらったからジュース奢るよ。ゆっちゃんも」

そういって3人で公園の前にある自販機まで歩きながら、二人で話していたことについてショウタに聞いた。

「好きってなるのって、どんな気持ち?」

「好きってなるのかぁ、ミキは幼稚園の頃から知ってるんだけど砂場で遊んでた時の笑った顔

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第4話 急用中の幸

第4話 急用中の幸

今日はおっくんと公園で遊ぶと約束したのに、父さんが水槽の水の入れ替えをするから手伝えって強制的に手伝わされることになった。

全くツイてない。

父さんは派遣会社を経営していて、いろんな会社や寮の従業員のところへ毎日かけずり回っているのをおれは知っている。

どちらかというと家では家族に無愛想な方だけど、外では相当な世話焼きというのも知っている。

この前なんて従業員の家のテレビの写りが悪いという

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第3話 見て話して

第3話 見て話して

「今日学校が終わったら公園に集合して、トンボを捕まえようぜ!おっくんとおれでどっちが大きいの捕まえれるか勝負!」って言ったのはショウタの方なのに一時間経っても来ない。

かといってこのまま帰ってもつまんないし、とりあえず公園にある池に小石を投げている。

もしかしたらなんか家の用事ができちゃったとかだろうとショウタがこの後くることはもう期待もしていなかった。

ぽちゃんと投げ入れる小石は、そこを中

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第2話 遠くにいないなら近くにいるんでしょ

第2話 遠くにいないなら近くにいるんでしょ

私は男に生まれたかった。

なぜかというと、何かにつけて女の子はお淑やかにしていなさいと大人が言うからだ。

私だって休み時間にドッジボールがしたいし、男子たちがたまにする殴り合いの大げんかをしてムカつくやつをコテンパンにしてやりたいと思う。

私の名前は【ゆう】

みんなから【ゆっちゃん】と呼ばれている。

私が生まれる前。性別が多分女の子だとわかっていたけど「まだだ。まだわからないじゃないか」

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第1話 恋はいつでもハリケーン

第1話 恋はいつでもハリケーン

やあ。僕は小学5年生のおっくんだよ。

なんでおっくんっていうの?ってよくみんなに言われるんだ。

何でみんなそんなことを聞いてくるかというと、僕の名前には一文字も【お】なんて入ってないからさ。

僕の名前は【よしお】

小さい頃に家族から【ヨシくん】て呼ばれていたんだけど、まだ小さかった僕は周りのいうのを真似て【ヨシくん】と言おうとしたら、僕は自分で自分のことを【おっくん】て言ったらしいよ。

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