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12月6日 俺はハッピーなのである。

昨日、私は怒りに怒り狂っていて、知るか、知るかとブツブツ小言を垂れながら、バイト先から家まで咲いている花の上のみを歩いて帰った訳だが、本日は違った。どこもかしこも蘭々と花が咲いていて、気持ちも晴れ晴れ、天晴れオレ、オレ天晴れ、お花を踏まずに帰ろうとするも辺り一面フラワーロードよろしく、これでは家に帰れないではないか!と大きな声を出してみたりしたのである。自分は浮き沈みがものすごく激しいように思う。浮いていようが沈んでいようが、その反対に気持ちを持ってこうとするので、日々消耗している。が、落ちる所まで落ちたことは今までに一度もない。私の根底、私の中の地獄の手前には、高価なバームクーヘン程分厚く鉄板のような硬さ誇る何かが横たわっていて、これが私を落ち込むことを許さないのである。自分の逞しさを恥じる。

バイト先のおばちゃんが、リンゴを4つくれた。袋の中はまだ確認していないが、誰かと2個ずつ食べなと言っていたので、袋の中に入っているリンゴは4個だと思う。毎年、リンゴをくれる。まだまだあると毎回言ってくれる。
ボランティアのおばちゃんには3キロ程の米を頂いた。袋の中には、レトルトカレーが2箱とパスタにかけるカルボナーラのソースが入っていた。まだまだあると彼女も言った。
帰りに、バイト先の後輩の女の子と一緒に帰った。彼女は毎日イオンに行く。イオンで晩ご飯を買う彼女が僕は好きだ。途中で銀行に寄る彼女を見て、やはり誰のことも貶してはならないと改めて思った。
喫茶店に寄るからと、途中でバイバイをしようとすると、気になる、と後ろをついて来る。世界一不味いコーヒーがあるという、僕の言葉に興味を示したらしい。一緒に入る?と聞くと、入らないと言う。でも、店の前までは行きたいと言って、結局イオンを通り過ぎて喫茶店の前まで一緒に歩いた。銀行は混んでるから嫌いだと彼女は言っていた。喫茶店の前でメニュー表を二人で見た。これが世界一不味いコーヒーだよと、さも味わい深そうに描かれたコーヒーのイラストを指差すと、彼女は背負っていたリュックを前にしてチャックを開け、財布を中から取り出した。やはり飲みたかったのではないかと店に入ろうとすると、彼女は100円玉を僕に差し出した。カフェオレを飲むといいよと言ってくれた。途中でした、世界一不味いコーヒー1杯で2時間粘るという僕の話を受けてのことだろう。こういう時僕は、いや悪いよ、と決まって一度断るのだけれども、今日はそれをしなかった。明日のお笑いライブ、頑張ってねと言って、彼女はイオンへと向かって行った。僕は彼女の背中を見つめることを辞め、ズカズカと店に入り、カフェオレのLサイズを頼んだ。
俺はマジで売れるぞ。全て返したい。

落合諒です。お笑いと文章を書きます。何卒よろしくお願いします。