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『社内の「知的確信犯」を探し出せ』①理不尽な被害の裏には…

誠実で、上司から評価され、仕事もできると思われているタイプ。実はその人物がとんでもないトラブルの背後に潜む「確信犯」であるかもしれない。

『社内の「知的確信犯」を探し出せ』(ポール・バビアク/ロバート・D・ヘア著、原タイトル:Snakes in Suits)は、著者が社内に潜むサイコパス社員の実体を調査し、それを分かりやすくまとめた本だ。

私利私欲で行動する人より有害なサイコパス社員

サイコパスというと、シリアルキラーを思い浮かべる人が多いが、実は、非暴力的で、会社などの組織に入り込み、影響力のある幹部をうまく操り、目立たないように悪事を働いている社員がいる。この本は、そんなサイコパス社員に特化して書かれている。

世の中には、企業や従業員にとって、私利私欲や巨大なエゴの赴くままに行動する人よりも、はるかに有害な存在になりうる集団が存在する。…この集団には、平気でうそをつき、他人を操り、策略をめぐらし、冷静で身勝手に振る舞うといった有害な性質に根差したパーソナリティ障害が見られる。これが、精神医学の専門書で真っ先に取り上げられるパーソナリティ障害の一つ、「サイコパシー(精神病質)」だ。
『社内の「知的確信犯」を探し出せ』

サイコパス社員が厄介なのは、悪事を働きながらも、まじめでできる奴に見られ、上司からも高い評価を得たりしているからだ。

そしてサイコパス社員のターゲットとなってしまうと、何も悪いことをしていない普通の社員が、降格や退職に追い込まれたり、人生が狂わされたりする。

悪事を働いた者が出世、悪事を暴いた者が被害者に

本書には、学術的調査と研究に基づく解説と並行し、サイコパス社員「デイブ」と、その上司「フランク」が登場する小説も、描かれている。

デイブの問題に気づいたフランクは、それを上層部に報告しようとする。ところが、その前に、フランクはデイブが作り上げたデマによって、退職に追いやられてしまうのだ。そしてデイブが昇格する。

デイブは、たいした仕事をしていない。していることは、上司や同僚を欺いて失敗させ、その上司や同僚のしてきたことを自分の手柄に変えたりすることだ。しかし上層部をうまく操り、出世してしまうのである。

このストーリー、実は、私が経験したこととあまりにも酷似していた。特にデマでフランクが追い込まれていく様子は、自分と重なり、胸が苦しくなったりもした。

理不尽な被害の裏にはサイコパスがいたのかも

それでも、この本を読んだことで、自分の身に降りかかった不幸の理由や経緯がとても整理され、心が晴れたところもある。

名誉回復の欲求は、たいがい、加害者が本物のサイコパスだったことを確認することによって満たされるようだ。被害者の多くは、サイコパスのだましの手口を深く理解することで、気分が晴れたと述べている。
『社内の「知的確信犯」を探し出せ』

会社などで理不尽な被害に遭った経験がある方は、この本を一度読んでみるといいかもしれない。もしかると、それはサイコパスによるものだったかもしれないからだ。そうであったなら、被害の理由と経緯が理解できることで、心が少し晴れるかもしれないからだ。

ただ、この本は今は中古しかないようだ。残念である。ぜひキンドル化してほしいと思っている。

今日も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

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