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#25-10 新若人におくることば④「魅力ある装幀は売行きを良くする」

令和6年能登半島地震により被災された皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。皆さまの安全と被災地の一日も早い復興をお祈り申し上げます。

今年も、ゆるく会社の雰囲気など情報発信をしていきますのでよろしくお願いします。本日はコーナー新・若人におくることば」をお送りします。当社の代表取締役会長である生駒が、社内報に定期的に寄せていたコラム「新・若人におくることば リラックス」を再編集して構成したものです。

それでは第4回、始まります。


「旺文社 事業の方針」

今回も創業者・赤尾好夫の制定した「旺文社 事業の方針」からわたしが気になった項目を取り上げて解説します。

方針17 「魅力ある装幀は売行きを良くする」
装幀は本の顔である。その魅力が読者を引きつけ、本を開かせる。
厚化粧は逆効果であり、デザイナー任せは無責任である。

「旺文社 事業の方針」

書籍ほど「パッケージ」が重要な商品はそうそうないと思う。電気製品や衣類、雑貨などは、通常商品がむき出しで展示されている。パッケージ自体はそれほど重要ではない。では書籍の商品の実体とはなんだろう。装幀やカバーも含めた書籍本体が商品の実体ではあるが、読者にとってカバーは不要な場合も多い。となると商品の実体は、書籍の本体で、カバーがパッケージということになるだろう。

読者を迷わせない装幀づくり

私の考える学習書の装幀について大事なことです。

「読者の判断に委ねない!」

学習参考書、特に大学受験や英検などの受験用の学参にそれは強くあてはまると思う。

ジャパネットたかたの高田旭人社長が言っていた。「うちは誰もがとりあえず満足できる最大公約数的な商品を選び、メーカーと協力して、その機能を磨きに磨いて提供している。いろいろ調べて買う人、自分の考えをちゃんと持っている人からしたら、いろいろ意見はあるだろうけど、当社は、これが大多数の人がよいと思う商品だと思っています」(生駒の超訳です)

学習書というのは、ほぼこれに当てはまると思っています。つまり学習者の多くは、自分の意見を持っていない。自分の考えや勉強法で参考書を選ぶことはできない。常に「王道」を求めている。誰もが認める参考書を選びたいと思っている。(ちなみにこれらは、高校学参や英検には当てはまるけれど、大人が選ぶ小学学参やTOEIC書ではやや事情が異なることに留意してください)

これが装幀とどういう関係にあるかというと、読者を迷わせることは書かない。読者に判断を委ねることをしない。ということです。

例えば、極端な差別化をしない。普通じゃない学習法をアピールすると、読者はこれがいいか悪いか判断しないといけない。読者を迷わすことになる。

「問題数が多い」とか「解説が丁寧」とか「図版が多い」とか「売上No. 1」とかそういう差別化はOK。なんとか式とか、何段階学習法とか、動画と連携して使うとかそういうややこしいやつは読者を迷わす元になります。

読者が求めるのは「王道系」

学習書では、奇抜な装幀もアウトとなる。読者がこの本は王道系と認識しにくくなるからです。ただし既に一定の地位を確立している学参、例えば『ターゲット1900』『マドンナ古文』などは、独特な装幀でアイコンが明確となってよい効果を生んでいる場合もある。

これに関連して、学習書のタイトルデザインは、科目や検定名・対応級などをしっかりと目立つように配置することが重要。「弱点」や「ニガテ」「頻出」云々という特長を1番目立たせる必要がないということです。車の広告は車のビジュアルがメインになるのと同じです。たとえ燃費が売りの車であっても主役は車の外観なのです。

これらの特長ワードが目立ちすぎるとどうしても王道感がなくなり、読者に判断を委ねることになります。もちろんニッチをあえて狙ってそこそこの読者を獲得するという狙いであればそれもありとは思いますが、私はあまりお勧めしません。

帯の情報はシンプルに

最後に帯の話。帯にいろいろ特長やできることを書きたくなると思うのですが、よけいなことを書くことによって読者を不安にさせることもあります。例えば、音声データ付きの場合、「スマホで音声が聞ける!」と書くだけでOKなところを、「ダウンロードもストリーミングでも」などと書いてしまって、読者を迷わせることとなる。まさに赤尾好夫の言う「厚化粧は逆効果」です。

今日は、装幀に関する生駒のちょっと極論を書いてみました。あくまで生駒の持論ということでご理解ください。
注:以上諸説あります(笑)


本日もお読みいただきありがとうございました。

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