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「クリスマスのフロスト」R.D.ウィングフィールド

イギリスの警察小説が好きである。
アメリカは私立探偵ものと弁護士もの、イギリスは警察ものというイメージがある。
イギリスはパンクだロックだなんだと、はみ出している部分はあるが、根はお堅いまじめなお国柄というイメージがあるからかも。
サライイネス(サライネス)の漫画「水玉生活」「大阪豆ごはん」にもそんなシーンがあって、そうそう!!と納得した思い出が。
※上記2作、非常に面白いのでいつか紹介したいと思う。

図書館で借りて読んだものが多いので、パラパラ見返すことが出来なくて残念だが、コリン・デクスター『モース警部シリーズ』、ピーター・ラヴゼイの『ダイヤモンド警視シリーズ』ノンシリーズで「偽のデュー警部」などは良作で大学生時代に借りまくりの読みまくりだった。
P・D・ジェイムズの『ダルグリッシュ警視シリーズ』、レジナルド・ヒル『ダルジール警視シリーズ』、これらは特に心をつかまれたのと、学生時代の貧しい金銭事情の影響で手元に置きたい本を厳選した結果、今我が家の本棚に並んでいる。
そして本作の『フロスト警部シリーズ』も。

「クリスマスのフロスト」は、はじめて読んだモジュラー型警察小説と呼ばれるジャンル。
モジュラー型警察小説とは複数の事件が同時に発生するタイプの話らしい。
序盤から中盤にかけて怒涛のように事件が押し寄せてきて、登場人物と同じくらい、こちらもあたふた。
いったいどういう結末になるのか、とわくわくしてしまう。
しかも本作の主人公フロスト警部は非常に癖のある人物、下品なやつで凄惨な現場で下ネタを飛ばし、仕事中毒でほぼ寝ない、署長と仲が悪くて、書類仕事はためる、部下の申請の承認を忘れる、見た目はくたびれたおっさん、そのマフラー何年つけとんねん?、などなど。
くわえタバコで署長室入って行って、注意されたら「すいやせーん」って感じで署長が大事にしている装飾品とかで火を消しちゃったり(笑)、死体が埋まっていると思って地面を掘ったら別の白骨死体を見つけて仕事増やしちゃったり(驚)と大活躍。
事件の解決も、当初の目的を達成できなくて「ちきしょう!はずれか!!あれ?おいおいちょっと待て、お前それどうした?もしかして。。」みたいな感じで、行き当たりばったりで真相に行きついたり。
ドミノを倒すみたいに溜まった事件を解決していく。
正直、フロスト警部の名推理が冴えわたるとかは無い!!

ただ、シリーズが進んでいくと、ばたばたするだけではない、フロスト警部がただものじゃない感じが描かれることもあって、さらに面白味が増すのである。
それが癖にになってしまい、前述の通り我が家には全作おいてございます。
本作をフロスト警部入門書として、皆さんもぜひ読んで欲しい。

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