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「かがみの孤城」辻村深月

古本屋で買った本にはブックカバーがつかない。
また栞もないこともあったりして、なので布製のブックカバー(紐の栞付き)をつけて読んでいる。
フリーマーケットでパンダの柄に心惹かれて買ったものだ。

で、良い作品に出会うと本のすべてを知りたくなる。
もう一度表紙も見たいし、作者の紹介や他作品も知りたいし、読み終わった後にもう一度あらすじを読みたい。
本作も読み終わってすぐパンダのブックカバーをはずした。

そこで気づいた。
これ”ポプラ社”じゃん!!
ポプラ社、子供のころ面白い児童書を読んで、今と同様に出版社を見たらポプラ社だった。
小学生のころ、父と母と小さい妹と、友達とポプラ社の本のみで構成されていた幸せ、あのころは世界がシンプルで楽しかった、というのを思い出した。
ポプラ社というパワーワード?と、本の内容のせいだ。
本作は中学1年の少女が主人公、多感でもろい思春期。
こどものころ、そう前述したようなシンプルな世界から大人の複雑な世界へと入っていく感じ、そんな雰囲気が前述した感じを思い起こさせたんだろうと思う。
複雑な世界では問題も複雑で、、主人公は学校に行けていない”不登校”というやつだ。

あらすじ
中学生になって、同級生の女子とのいざこざと決定的なある事件のせいで学校に行けなくなる主人公。
彼女が不安と後ろめたさを感じながら部屋にいると、大きな鏡、姿見が光を放つ、手を差し伸べると引っ張られるように鏡の中へ。
そこには狼の仮面をかぶった少女と、同じように鏡の世界に引き込まれた少年少女たちがいた。
狼面の少女が言うには、この城には願いをかなえる部屋がある、そこを開ける鍵がどこかに隠れているので探して願いをかなえろと。
少年少女たち、主人公を入れて7人は鍵を探すライバル同士、期限はおよそ1年後の3月30日。

この不思議な設定からはじまる本作、ファンタジー的な要素もありつつ、平日の昼間に集まることができる7人、つまりは学校に行けていない子たち。
彼らの悩み・不安・いつしか芽生える友情などが描かれる。
あらすじにもあるが、ちょっとした衝撃の真実も用意されていて、非常に読みごたえがあった。
ファンタジーとして、青春物として、謎解きとして、そして人間の苦悩との闘いとして、どこを切り取っても没入出来る作品だと思う。

きちんとハッピーエンドなところも良い。
衝撃の真相によって主人公たちが本作の伏線に気づく描写があるのだが、1個きちんと書かれていない伏線があって、、、それに気づいた時にすごいこころが”ほっこり”したよ。
読んで見つけて欲しい。

”不登校”だ”引きこもり”だと、数字を見ることがあったり、世間ではそういう問題があるよね、と訳知り顔で語るのは簡単だけど。。
自分に関係ないと思わずちゃんと向き合ったことあったっけ?
そういう立場に自分や周りの人がならないと真剣に考えないんだなぁと、それでいいんだったけか?とか、読み終わったあとたくさん考えた。。

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