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「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」スティーグ・ラーソン

ミレニアムシリーズの1作目。
ミレニアムシリーズは雑誌「ミレニアム」の記者であるミカエルと、ちょっと不安定な女調査員、リスベットの物語、らしい。
らしいというのはまだ1作目しか読んでいないから。

入りは映画でした。
映画は2パターンあって、母国スウェーデン版とアメリカ版があり、俺が見たのはアメリカ版の方で、面白かったから原作を探したら三部作だった。
一時期、ブックオフコーポレーションの株をもっており、株主優待で三部作、上下巻の6巻を購入した。
まだ1作目しか読んでない。。

物語の序盤、ミレニアムの経営責任者の1人であるミカエルが巻き込まれた陰謀が描かれる。
小難しくて、読んだときは理解できていたが今は覚えていない。
とにかくその陰謀で裁判沙汰になり社会的な地位を失いかけていた彼に、ある大富豪からの依頼が舞い込む。
数十年前に一族から消えた少女についての調査依頼だ。
うまくいったあかつきには、彼の社会的な地位を取り戻してくれる、と約束してくれる。

関係者には一族の歴史をまとめる仕事だとしながら、捜査を進めていく。
リスベットはそんなミカエルの補佐としてつけられる、小柄な少年のような女性。
その素行や精神状態から責任能力が無いとみなされ、後見人がついている。
攻撃的で、虐待の過去などもあり、なかなか破綻した女性。

このミカエルとリスベットが一族の込み入った人間関係と、深い闇を掘り下げていく。
途中で命を狙われたり、パートナーとしての信頼を深めたり、そして男女としての仲も。。。

先日、「顔」を紹介した時に女性警察官の苦悩が描かれていると書いた。
本作は女性、「女」そのものにある苦悩、つらい現実などがストーリーの底に流れている。

法と秩序、コンプライアンスや道徳感、そういったものが男女平等をなんとか実現しようとしている現代。
そんな現代でも、強い男と相対した時、そこが倫理観の及ばない場所だった場合、女性にはつらいことが起きてしまうリスクが多大にあるのだと思い知らされる。
父権社会である大富豪の一族で、女性という存在、まだ少女だった一人の人間に何が起こったのか、そして捜査側のリスベットは女であることの苦境とどう戦うのか、ぜひ読んで確かめて欲しい。

ここまで書いて思ったのだが、手塚治虫の青年向け作品のいやらしいドロドロと雰囲気が似ている気がする。
「奇子」を思い出した。

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