『「雑草」という戦略 予測不能な時代をどう生き抜くか / 稲垣 栄洋 (著) 』

去年は本を全く読めなかった。とても久しぶりに1冊読み終える。「雑草生態学」を専門とする、静岡大学大学院 農学研究科教授が書かれた本。

●じつは生物の世界では「ナンバー1しか、生き残れない」という明確な鉄則がある。

しかし、不思議なことがある。「ナンバー1しか、生き残れない」のが自然界の鉄則であるとすれば、世の中にはたった一種類の生物種しか存在しないことになる。それなのに、どうして自然界にはたくさんの生物がいるのだろう。

とこかでナンバー1にならなけらばならない。どこかで負けない部分がなくてはいけない。生物のニッチは、まさに企業のコア・コンピタンスである。

●それぞれの生物は、それぞれの環境に合わせて戦略を発達させ、その戦略にあった場所に生息している。すべての生物は、自分の強みを活かしている。ただ、それだけのことだ。

●強さとは、弱さを知っていることである。

●しなやに、いなす

●すべてのオオバコは、「踏んでほしい」と願っているはずだ。オオバコは踏まれなければ、種子を散布することができない。

●冷静に考えてみてほしい。そもそも、どうして立ち上がらなければならないのだろうか。

踏まれたら立ち上がらなければいけないとういのは、人間の勝手な思い込みではないだろうか。プライドや世間体のために立ち上がろうとしているだけではないだろうか。

踏まれても踏まれても立ち上がるやみくもな根性論よりも、雑草の戦略は、ずっと合理的である。そして、ずっとしたたかで、たくましいのである。

●大切なことは決まっているのである。

●大切なことが変化しないからこそ、雑草は自由自在に変化することができるのである。

●変えてはいけないゴールがはっきりしていれば、ロードマップを書き換えればいいだけの話なのだ。

●安定した環境では競争力が物を言うが、環境がかき乱されるような不安定な環境では、競争などしている余裕はないのだ。撹乱のある場所で求められることは、競争の強さではなく、次々に変化する環境に対応する適応力である。

この条件は、競争力のある強者には、まったくもって不条理なものだが、競争力のない弱者には願ってもないチャンスとなる。何しろ変化さえ乗り越えることができれば、安定した環境では勝てなかったような強者に勝つことができるのだ。

●複雑な環境にチャンスは宿る

●植物でさえも、基本はポジショニング戦略である。

●ある雑草が、どんなに成功を収めたとしても、それはその場所の環境でたまたま成功しただけのことである。変化が起こる環境では、次の世代がどのような逆境の中で生きなければならないのか、わからない。

だから雑草は自分の特性を次の世代に押しつけるのではなく、できるだけさまざまなタイプの子孫を残そうとするのである。

●雑草は、戦う場所を戦略的に選んでいる。しかし、武器は多い方がいいから、持っている武器は捨てない。あらゆるオプションを持つことが、変化に対応する上では重要なのだ。

●できるだけ戦わない。変化によって生み出される新しい環境を捉える。

●今、価値あるものが永遠に価値を持ち続けるとは限らない。

●独占状態になることが、はたして良いことなのだろうか。

●自然界はバランスによって成り立っている。バランスが崩れれば、誰も生きていくことができない。「一人勝ちは許されない」

●人間の脳は、複雑なことを複雑なまま理解することはできない。そのため、単純化して整理して理解する必要がある。物事を細分化して、区別して、比較する。これが科学の基本的な手法である。

●力で勝負するのではなく、力を受け流す。これが雑草の基本戦略である。

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