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ロードバイクに飽きた・しんどいあなたへ 「おかずのクッキング」に学ぶ自転車の楽しみ方


この記事はロードバイク Advent Calendar 2022の23日目の記事です。昨日はhideaさんの「卓上カレンダーでふり返る2022年」でした。

今回のタイトルは何のこっちゃだと思いますが、要は「自転車の楽しみ方はこんなにいろいろあるんだぜ!」という話です。


「おかずのクッキング 2022年2月3月号」とは

「おかずのクッキング」はテレビ朝日系列で放送されていた料理番組で、前身の番組から含めると約48年続いていた長寿番組でした。でした、というのは今年2022年3月で最終回を迎えているからです。

この番組のサブテキストも2022年2月/3月号で休刊となっているのですが、この最終号のテキストに載っていた土井善晴先生のコメントからぱたさん(nipper)が激賞していたのを見て思わず買って読んでしまったのでした。

おかずのクッキングに載っている内容を要約すると、

・今も昔も料理する時間は長くとれない。毎日ご馳走、毎日特別おいしいものはいらない
・一汁一菜で料理は完成しているのだから、心に余裕があるときに、食べたいおかずを1つ作ればいい
・「料理しようとする」こと自体が尊い

ということです。

土井先生の語りを読んでいると偉いお坊さんの話を聞いているみたいな気分になりますが、これを読んで自分の「自転車趣味」も見つめ直しちゃったんですよね。

毎回毎回が特別なサイクリング・ツーリングじゃなきゃいけないみたいな強迫観念にとらわれていたんじゃないか、自転車のおもしろさ(コアな面白さ、"一汁一菜")ってそういうところじゃないよねと。SNSでは定期的に「ロードバイク飽きた、しんどい」とか「どこに走りに行けばいいか分からない」という投稿が流れてきますが、まさに「毎日ご馳走、毎日特別おいしいもの」を求めてるんじゃないの?と自省も込めて感じたのでした。

チャート式!自転車の楽しみ方4+1選

そんなわけで、時間がない現代の全てのサイクリストは「おかずのクッキング2022年2月3月号」を読め絶対。
で終わればよかったんですが、そもそも休刊してるから買うのも難しいし、エッセンスを読み取って解釈するのも大変だと思うので、自分なりに土井先生の考え方をベースに自転車の楽しみ方を整理整頓し直してみました。特にロードバイク初心者や、ロードバイク飽きてきたなーと感じている方のお役に立てれば幸いです。

このチャートをやれば、きっと自転車の楽しみ方を再発見できる……はず。

自分がどれに当てはまりそうか、なんとなく決まったら下へ。


A.目標を決めてトレーニングする

自転車で走ること自体、さらにはタイムや身体のスコア(出力や体重、筋肉量など)を上げていくこと自体が楽しいというパターン。ある意味自転車の楽しみ方としては根源的で、初めてロードバイクに乗ったときの「うわっ、こんなに早く走れるんだ!」がずっと続いている幸運なパターンだと思います。

目標は数字(タイムや出力、体重)、イベント入賞などがわかりやすいですよね。まずは現在の状態を測定する環境を整えるためパワーメーターや心拍計、サイコンを買い揃えて、スコアを上げていくためにひたすらトレーニングでしょうか。ハイアマチュアとしてプロを倒しにいってもいいですし、ひたすら自分との戦いに没頭するのもいいと思います。


B.イベントに参加する、または誰かと一緒に走る

誰かと一緒に走ったり、一緒に美味しいものを食べに行ったり、何かのイベントにお祭り感覚で参加するのが楽しいなら自転車はそういう楽しみ方をするものだと考えてしまうのも良いと思います。あるいはヒルクライム大会やブルベなど同じ目的を有した集団ながら、単独でひたすら走行するようなイベントに参加するのも良いです。
集団スポーツと同じ感覚ですよね。

「イベントに参加する時に、もしくは誰かと一緒に走るときに遅れるのが嫌だ、だから頑張ってトレーニングしよう」は動機としてはすばらしいものの、それが原因で辛くなってしまったら本末転倒。
みんなで走ったあとのビールが最高だから、走るのやめてビールだけ飲んで・・・は飲み会でやってください。


C.「美味しい物を食べる、見たい景色を見る」だけをやる

美味しいもの食べに行く、絶景を見に行くって自転車趣味のメジャーな目的のひとつだと思います。

自転車で走ること自体がめちゃくちゃ楽しいのではなくその行き先に楽しいことが待っているなら、思い切って自転車に乗る時間を短くしちゃえば良いと思います。
走るのが100km、200kmでも10km、20kmでも、「美味しい物を食べる、見たい景色を見る」だけに来たんだと思えばそこに違いはないですよね。幸いなことに日本は鉄道・飛行機で手軽に輪行ができるので、ギリギリまで目的地まで輪行で近づいてサイクリング、ありだと思います。


D.他の趣味と組み合わせる

Cに近い話ですが、実は自転車は補助的な趣味で、メインの趣味といえるものは別にあったんだ!というのも往々にしてあると思います。例えば旅をすることが好き、街歩きが好き、写真を撮ることが好き、ネット/SNSで配信することが好き、漫画好き、ゲーム好き、登山好き、ランニング好きなどなど。

こうなると自転車としての楽しみは二の次にして、他の趣味の側を最優先でサイクリングをするのが良いと思います。


E.A~Dではない「なんでもないサイクリング」も良いじゃんと考える

どれを選んでも全員が当てはまる、ここが一番重要なポイント。ここまで見てきた自転車の楽しみ方、時間と心の余裕があるなら思う存分やればいいと思います。でもそうじゃないよね、日々めっちゃ忙しいしそんなことできない日も多いよね、というのが土井先生曰くの「一汁一菜」の考え方です。

例えばAなら「30分どうにかトレーニングした」だけ、Bなら「時間が合った人と日曜日にサイクリングロードを少し走った」だけ、Cなら「隣町にある喫茶店まで走って美味しいコーヒーを飲んだ」だけ、Dなら「自転車で走りに行った先でちょっと良い写真が1枚撮れた」だけ、で良いんですよ。
もしかすると、何の収穫もなくサクっと散歩に走っただけでも100点満点かもしれません。

そもそも食べ物や衣服の「贅」と「貧」は古来から伝わる「ハレ」と「ケ」を使い分ける知恵なんやで……という考え方が俺の心に沁みまくる。 毎日「あれもやらねば、これもやらねば」と言っていると、そもそもキッチンに向かうことがしんどくなって、食そのものへの態度がかえって貧しくなってしまう。

プラモデルを一生モノの趣味にしたくて、「おかずのクッキング」をじっくり読んだ話。 - nipper

これなんですよね。
「寒いなか、わざわざサイクリングウェアに着替えてちょっと漕ぎ出す。それだけで上等。ええんですよ」


食と比べてはるかに優先度が低い、自転車という趣味を存分に楽しむ

Eでだまし討ちしたみたいなチャートでしたが、土井先生の「和風、洋風、中華風、なんでもええんです。でも毎日ご馳走、毎日特別おいしいものは要りません」っていう考え方を自転車であらわすとこうなると思うんですよ。

毎日の食事という生きていく上で一番基礎の活動ですら、やるのがしんどい・飽きることがある中で、自転車という趣味を続けられるのは実はすごいことなのかもしれません。
感染症だ戦争だで大変な2022年でしたが、来年もみなさんが(自分も含めて)よいサイクリングができるように願っています。


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