スタートアップ企業らしい成長戦略をもった新卒採用制度を開発した
今日は経営開発者としての新手法のリリースです。
会社員だった頃はわからなかったこと - MBOは何のため
というブログを書いたのが2日前だったんだけど、色々考えて、今後のためにMBOとOKRをすばやく導入しました。
それだけでなく、新しい新卒学生の採用制度を構築しました。
まだまだ人を採用できるレベルではないスタートアップ企業のAICU社が、いかに将来に向けて成長するか?を考えに考えて作った制度です。
インターンシップ制度と私。
欧州のENSAMプレゼンス・イノベーション研究所で産学連携インターンによる社会実装を学んだ私です。米国のビッグテック式のインターンを実装したのがGREE VR Studio Labです。3ヶ月で成果を出し続けていくスタイルで、研究開発のRもDもしっかり進めつつ、大学の先生達の最先端の基礎研究を活かしつつ、事業会社のR&Dを回していくというスタイルはある程度の予算さえあれば回せる私です。
現在はまだまだとても小さな予算ですが、優秀な学生を見つけて、才能を伸ばすことは得意であります。よき才能に出会うことに恵まれているということでもありますが、これについてのコツはまた今度筆を執ります。
何がいいたいかと言うと、日本のインターンシップ制度はまだまだ本気を出していないと思うんです。ただの見学会でもアルバイトでも就業体験でもない、プロジェクトベースラーニング(PBL)でもあるし、オンジョブトレーニング(OJT)でもある。メンターを育てる必要もあるし、方法論がどのように構築できるのかは少子高齢社会となる日本の学生の雇用環境や大学のあり方、産学連携のあり方を考えるうえでとても重要です。
AICUのインターン情報はこちら
インターンシップで十分な能力を測られた学生が次に何をするか?
インターンシップで十分な能力を測られた学生が次に何をするか?多くの場合、1社でも内定を取れる学生は、何社でも内定を取れるはずです。逆に採用側からすれば「どこの会社からも内定しない学生」を採用するにはマッチングコストや勇気がいります。丁寧に丁寧に育てていく必要があります。一方で、内定を多数の会社から取ってしまう学生は一定の水準を超えている"収穫期を迎えた果実"でありどこの会社も欲しいです。結果、本人が普通に売り込んでいるだけで激モテしますが、この時期(ちょうど5月下旬ぐらいから内定が出始める)から「けっきょく行ける会社は1社しかない」という苦しみを受けます。何のモラルもない人は悩まずに内定を辞退しますし、非道い学生だとギリギリ9月末まで粘って二股の三股をかけてから辞退をします。採用側からすれば最後の最後の最終面接で1/2まで絞り込んだ上で、経営会議をふまえての内々定、内定通知なのに、そんなふうに蹴られてしまっては混乱します。「こんなところで辞退してくるなんて『あの葡萄は酸っぱいに違いない』」と心の中で思いつつ、最終面接で不合格を出した人がかわいそう、と走り回ることになります。
私の観測では、そんな地獄のようなメンタルを持った内定トレトレ果実に限って「内定したのにインターンシップ」をすることがあります。そんなビッチな学生をインターンに採用する方も採用する方です、情報セキュリティとかの視点で考えるとガバガバ過ぎると思うんです。若者側からするとわからないでもないですけどね、正社員になってからガバガバになるよりはまし。
そもそも新卒に何を求めるか
なんだか教育者らしからぬことを書き綴っていますが、そもそも新卒学生には何を求めるべきなんでしょうか。どこの会社にも所属したことがない無垢な素材じゃなきゃいやだ、しかも他の企業に二股かけちゃだめだ、しかも給料は一番低いところからスタートだぞ…と、よく言われる話ですが、まるで日本の新卒採用は処女神話みたいなものです。無垢な素材を自分色に染めてやるぜ…というマッチョな男性社会の匂いを感じざるを得ません。そもそもそんなコストかけて大量定期採用で新卒採用している時点で余裕があるんだなあ、という羨ましいかぎりですが、平成ならともかく令和のポストコロナ時代に就業経験や事業開発経験、契約経験などが薄い学生さんたちにとっては「束縛系彼氏」のような立場をとらねばならないのはいかがなものでしょうか。リモートワークが基本になっている会社、オフィスに行ってもシェアスペースにはガランドウだったり個別ブースに入りっぱなしの先輩社員たち…「会社で働くってなんだろう?」という基本的なエンゲージメントといえば、先輩社員たちの飲み会に次ぐ飲み会。しかも別に中身ある話なんてしてないしね。採用側からすれば契約上は「内定辞退の禁止」は流石に無理としても、他社との接触を契約や口頭で縛り、常日頃レポーティングなどをさせたり、さまざまなミートアップを繰り返して卒業までのその日を待たねばならない。
冷静に教育者側から見ると「そもそも就活解禁日をもっと遅らせればこんなことにはならないのに、前倒しまくって学生に唾つけているという副作用では…」という視点も持っていただきたいけれど、経団連とかはそのへんの視点で物事を進めていないんですよね…トレトレ収穫期のスタートラインを定めているだけで「学生を社会人に育てる」というプログラム整備の視点がない。
欧州のインターンシップはこんな感じ
欧州の大学院ではM1はPBLが中心です。そもそも研究系と職業系が分かれているので就職活動は3月のインターンシップ先を探すタイミングが大事です。指導教員の推薦や企業からのオファー、共同研究先などで行きたい企業を探します。先生はインターンシップ先のディレクターと連携し、学生に適切な課題を設定し、有給で6ヶ月のインターンシッププログラムを実施します。これはECTS“European Credit Transfer and Accumulation System(ヨーロッパ単位互換評価制度)”というヨーロッパの単位制度で必修となっているフォーマットです。これは高等教育と就業環境において、ヨーロッパ規格を作り、教育において透明性と可動性を高めることを目的として開発されました。
インターン先で、学生たちはそれぞれの企業のディレクターから研究課題をいただきます。研究としての難度、実装の速さ、自主性や雰囲気づくりといった要素で評価フォーマット(いわゆるルーブリック)があり「なんとなく良い学生だね」ではなく総合的に完成した社会人が出来上がっていきます。
最終プレゼンでは大学に戻り、企業のディレクターと教授陣の前で研究成果の発表を行います。論文を書いたり、デモを作ったり、社外には発表できないなにかを実装したり、それぞれ、多様なゴールやハードルが設定された課題を解決していきます。発表の最後に教授が企業のディレクターに「この学生はどんな感じでしたか」と訊きます。企業のディレクターは評価フォーマットに従ってロジカルに研究としての難度、実装の速さ、自主性や雰囲気づくりといった要素で述べていきます。『最初は緊張していたけれども、そのうちペースを掴んで色んな意見を言うようになってきた。チームの他の面々ともうまくやって、新しい技術や文化を持ち込み、柔軟な雰囲気づくりをしている』といった感じです。
最後に教授が訊きます。
『では、来月から彼はそちらの会社で働けますか?』
『そうですね、歓迎です』
といったかたちで、卒業がきまり、内定が決まり、報酬を記載した契約書が手に入ります。
そうはいってもスタートアップ企業はそんな余裕はない
そういう整備された仕組みが、日本にはない!
しかも弊社は小さな小さなスタートアップ企業です。
AICUは「つくる人をつくる」というビジョンをもった企業です。しかし時給で働く学生インターンでは、ビジョンや目標設定がかなり混乱してしまいます。自由にやらせても、きっちり指導しても、ブレや環境の変化、学生としてのマインドの変化は常にあります。それは成長と表裏一体です。これまで学生指導をしてきた経験から言えば、まずは行動してみることが大切です。私自身が大学の先生であるとしてみると、卒業や就職をゴールとする人には、就職活動をするように指導すれば良いと思います。しかし、普通の社員、つまり交換可能な人員としてではなく、理想的な成長を目指すための成長人材の場合には、しっかりとした設計やビジョン、長期計画が必要です。自分の自己実現を見据えて、それを具体的に設定し、つきあってくれる企業やメンターと伴走しながら実行していくことが重要です。
なのでこんな仕組みを考えてみました。
インターンシップから「長期社員育成プログラム」への登用制度へのアップグレード
AICU社の新制度の要点: 一定の期間インターンシップで事業の中核を担う担当者レベルまでスキルを上げたものに対して、長期社員育成を目的とした自由と裁量と会社の成長へのコミットメント機会をあたえる制度です。
社員同様のベネフィットに加えて、対外的な発表や国際研修機会、ベース給与を提供しつつ、リコグニションと組織と個人の自己実現を設定します。
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