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『古今和歌集』でAIアート㊵〜阿倍仲麿〜

天の原 ふりさけ見れば 春日なる 三笠の山に いでし月かも

訳:天空を仰ぎ見ると、そこにあるのは、かつて春日の三笠山に出た月(引用:『100分de名著 古今和歌集』 渡部泰明著 NHK出版)

百人一首でもお馴染みのこの歌には、「左注」と呼ばれる方法で、伝承的な情報が付いています。

それによれば、遣唐使として日本から来ていた阿倍仲麿が帰国することになった際に、唐の人々が海辺で「むまのはなむけ(=うまのはなむけ=送別)」をしてくれたそうです。

そのシチュエーションに海辺が選ばれるとはなんともおしゃれな演出ですが、「宴もたけなわ」でふと気がつけば、大きな満月が自分たちと海を煌々と照らしていたことに気づき、その美しさに涙するという、なんとも美しい情景です。

そこで読まれた冒頭の歌は、今で言うと「送別会の最後にする記念撮影」みたいなものだったのかもしれませんね。

「その場の情景と雰囲気を、切り取って残しておく手段」として仲麿がとったのが歌だったわけですが、これは合理的なチョイスのように思えます。

同様の目的なら「絵に描く」という手段を選ぶこともできたと思うのですが、仮に仲麿が絵にも秀でていたとしても、その場で描けるのは精々紙一枚が限界でしょう。現代と違って、絵はコピペができないわけですから、「仲間と共有することができないもの」だったわけです。

その一方で、歌ならば「読まれたものが音で広がり、その場にいる人と、その場の風景という視覚情報と共に、思い出として共有しやすかった」のではないでしょうか?

今日の「レシピ」です。

影絵のような絵、海辺、左下に砂浜で男たちが宴会をしている、右上に大きな満月、星がたくさん散りばめられた空、

A silhouette-like painting of a seaside, men having a party on the beach in the lower left, a large full moon in the upper right, and a sky dotted with many stars.


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