人の人生が終わるだけの物語「最終話」ネタバレ考察②

脱力と言います。ノベルアッププラスと言うサイトでシナリオや小説を書いています。
自分で書いた「最終話」と言う本について、誰にも頼まれてないですが勝手にめっちゃ解説しています。
読んでない方は①からお願いします。

⑧ この世は全て誰かに創作された無差別な意味のない世界であるということ
ここで、何もない空間に無差別に放たれた矢吹という人間と加藤という人間が出てきます。
矢吹は女、加藤は男。神様と名乗るものが機械的な音声で二人をナビゲートし、世界を作っていきます。主に矢吹は人の感情や想いや情熱、愛について。加藤は空、海、大地をデザインしていきます。そこにはアーケードゲームのような機械が置いてあり、二人はそれを操作しながら言語や魂のあり方などをほとんど1から作っていく創作者です。それによって、この世は生まれたとされます。加藤と矢吹はひとりづつ自分のオリジナルの人間を作ります。神様の名乗るものは、「毛見」という名前で人間の形をした生き物として存在します。

⑨  エンディングを始めに来た創作者
シーンは現実世界に戻ります。破天荒な矢吹に少しだけ怯えるめり。洋一を消したのは矢吹であり、この世を終わらせに来た人間だと知ります。
「洋一を生き返らせて」
めりは、矢吹に掴みかかる。矢吹は相手にしない。
「じゃあ私も殺してよ!!」と馬乗りになり殴りかかるめりでしたが、矢吹はされるがままに殴られ、苦しい顔一つしません。

「クソだなお前は。ここは人生なんかじゃないんだよ。地獄と地獄の間のお昼休みみたいなもん」

矢吹は、この世は自分が創作したもので、めりは特別に自分が作ったものだと淡々と伝える。
『ハッピーバースデイめりちゃん』
矢吹は洋一の声でそう呟くと、突如地面が粉々になり、二人は暗闇に落ちていきます。矢吹は、母親のようにめりの瞳を優しく見つめますが、途中で消えてしまう。この暗闇は、めりの精神状態が作り出した、創作世界のバグなのか、それとも現実なのか。ひとり落ちていく姿は、鬱々とした、あの気持ちを思い出させます。

目が覚めると、めりは路上に寝そべり、放心しています。そこに瑛二を背負った毛見が現れます。

「生にしがみつくのは青春だ」

毛見は奇妙なほどに表情を変えずめりの目をじっと見ます。実は毛見という男は、人間の男性の姿に化けてこの世に潜入している神様です。

⑩  杏とめいという、二人の最強少女
場面は変わり、誰もいなくて薄暗い廃墟のスーパーで少女二人が店内を物色しています。
杏は黒髪の綺麗な髪を長く伸ばしており、制服のスカートのしたにジャージを着ています。表情はどこか冷たく、真っ白な肌。ほとんど声を発しません。めいは、小さな体で大きなジャージを羽織っていて、首には双眼鏡がぶら下がっています。(自分で発明したそうです)
この二人にはモデルがいて、自分でいうのもなんですがすっごく好きなキャラなんです。それは登場人物紹介のターンで説明します。(そんなターンがやってくるんだ)

アイスの入った冷凍庫を開けると、中身がドロドロになり、黒い滝となり流れる。

このスーパーはバグで汚染されています。二人の少女は、それを見て特にびっくりもせず、ただアイスが食べれないことにうんざりしているくらいの様子です。突如、誰もいないはずの店内で物音がし、店員らしき人間が、少し離れたところに黒目がちの奇妙な笑顔で立っています。創作世界のバグが進行し人間にもはっきりと見える化け物を生み出してしまってるのです。この怖い人間のような化け物は少女たちに近づきますが、杏は冷蔵庫を蹴り壊し、そのガラスの破片で化け物の急所をぶっ刺します。その瞬間、怖い人間のような化け物たちが大量発生し二人に襲いかかりますが二人はビビリもせず戦います。
戦う少女という要素をどうしても入れたくてこの二人のキャラを作ったのですが本当にこのシーンが好きです。戦闘中、めいがドジして転んでしまい絶体絶命になりますが、その瞬間、周囲が光に包まれます。
怖い人間のような化け物たちは真っ黒焦げで全員息絶えていて、そこには加藤がバズーカを持って立っています。
「……間違えた」
世界を終わらせに来た加藤と矢吹ですが、間違えて人間を助けてしまいました。それを見ためいは「かっけー」と目を輝かせています。
少し興奮してしまいましたがこのシーンは本当に好きで、昔から強い女の子が主人公の漫画や、普段平凡な女の子たちが実は戦士だったりとか、ときめく要素なので絶対に入れたかったのです。

⑪  新しい洋一
場面はまたもや変わり、洋一が親と電話をしている夢から始まります。
洋一という人物は、喜怒哀楽が淡々としてるのですが、こんな人でも親がいたりするよというシーンです。

壊れた住宅街で洋一は目を覚まします。水中から解放されたかのように、息を整え、自分が死体となった直前の光景をフラッシュバックさせます。これがのちに物語のキーとなったりもします。
《洋一、車が真っ二つになる瞬間、一瞬矢吹と目が合う。》

立ち上がり少し歩くと、めりがボロボロで道路に寝そべっています。いつも通り話しかけてみると、
「ほ、本物?」
めりは飛び起きて、そのうち声を出して子供のように泣きながら、洋一に抱きつきます。死んでしまった大好きな人が生まれ変わったら、きっと思わず抱きしめてしまいますよね。

「矢吹からの誕生日プレゼントだ」

相変わらず奇妙な目をした毛見が、そう言って近づいてきます。三人は、洋一の車が木っ端微塵となった現場にいき、洋一の死体を確認します。少し時間がたち肉のミンチとなっている自分の死体を見て、嘔吐する洋一。

「体はオリジナルじゃないけど、中身は一緒だ。」

毛見が、また現実とかけ離れたことを言いますが、特に洋一は何も言い返しません。そこにジローを背負った矢吹が現れ、毛見に発砲します。ここで、毛見が矢吹側の人間であることをめりは察します。洋一は、矢吹の姿を見て、姿が井上美嘉と瓜二つであり、自分を殺したのは矢吹であることに気がつきます。
そこで急に毛見は「最後の晩餐にキャンプをしよう」と、ワクワクしながら空気を読まずに言い始めます。

「おいおいおい私は生きてるニンゲン全員のロマンチックに付き合わなきゃならねえのかよ!うぜえなァ!」

矢吹はこの様子ですが、毛見は矢吹と加藤が作った創作世界の大ファン。人間に憧れている神様なので、曲げません。
このシーンで気付くのが、洋一、めりを始め瑛二、ジローは存在したままになっています。他の人間は消えていなくなっているというのに。それには理由がありました。

「私と目があったやつは、好きなように死ねるんだ。理想的な終わりが、選べるのだ」

毛見が創作世界に潜入し、そこで毛見と目があった人間は自分の理想の死に方ができて、まだ存在したままだということ。毛見が決めた運命でこの人間たちはモブではなく登場人物になっていたということです。めりは、矢吹が作った人間なのでもちろん存在していますが、その周りの人間を生かすことで毛見はこの世界を最後に楽しみたいと思っているのです。
じゃあ杏とめいは?という話になりますが、それは後ほど。
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とりあえずここまでにしておきます
次回は
⑫  廃墟と化した学校の裏庭で、最後の晩餐
を勝手に解説します。そのうち急に登場人物や、創作世界の仕組みについても書きたいです。てか、スピンオフまで全部語りたくてうずうずしているところです。いやいや自分で書いたんだろ。
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