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アイデアを考えるまえに、まず問題を音読しよう

美大生を見て気付いたことの続編です。前に書いた「美大生はどうして〜」は色んな人に読んでもらえて、とても嬉しいです。今回書くのは【アイデアを出す前の最初の準備に関する話】です。さあアイデアを考えよう、と腰を上げるとき、皆さんは問題文やお題を渡されて、アイデアを考えはじめるとき、まずどうしますか?

例えば僕だったら喫茶店に入って苦めのコーヒーを頼んで、紙とペン片手にあれこれ考えたり、パソコンでそれに関する情報を調べはじめます。人によってはベッドに横になって携帯片手に考える人もいるでしょう。ところが芸大生の女友達は紙とペンを出すより早く、いきなり音読をはじめました。

一見、周囲の見えない奇想天外な行動に見えるのですが、そこには彼女なりの工夫、そして僕らにも活かせる問題解決やアイデアを出すヒントがありました。


2年前くらい、まだ大阪に居た頃に友達(芸大卒業生)とあるコンペティションに作品を出そうと頑張っていた時期がありました。

1ヶ月くらい、一緒にその女の子と作品作りにいそしんでいたのですが、その一番最初の打ち合わせのとき、僕は衝撃を受けた。お題が書かれているWebサイトを二人で一緒に見ながら、あれこれ話していた時です。冒頭にも書いたのですが、その彼女が突然問題文を音読し始めたのです。

今急にはじめたことではなく、おそらくいつもやっていたことなんでしょう、彼女は特に回りを気にすることなく、当たり前のように声に出して問題文を読み始めました。割と大きめの声でした。ちょっと恥ずかしいくらい、

僕は正直面食らってしまって、不思議そうに見てました。それに気付いたのか、その彼女は「あ、すみませんいつも問題文を声に出して読むようにしているんです、なんか普通に読んでいるだけだと頭に入んなくて・・・」と言いました。

冗談かと思ったら、本当に音読の前後でその彼女の思考のキレが格段に変わったし、テキパキとアイデアの方向性を出すようになった。音読ってそんなにすごいの?

大学入試と音読

音読と聞くと思い出すのは、小学校の宿題か、大学入試のときの古文や英語の読解だと思う。

高校生の頃、古文/英語の先生に「古文/英文の読解問題は、文章を目で読むだけでなく、口に出して読んでみましょう。そのほうがより文章の内容を理解できます」と言われた経験はないでしょうか。

音読のほうが黙読よりも頭に入ってきやすいなんて、どうもウソクセェなとか高校生の頃は思っていました。だけど、先生に促されるまま実際に英語を音読しながら読んでみたら、確かに普通に読むよりも理解がしやすかった。

先生曰く、古文も英文も元々は人がしゃべるために書かれた文章だから、いい文章は読んでその文章のもつリズムを追う事で、筆者が重要だと考えているポイントがわかる、みたいなことらしい。

音読することで、考える前に考えることを促す

電通のあるクリエイターがこんなことを言っていた、「アイデアを思いつけるかどうかは、お題をどれだけ深く掘り下げられたかどうかにかかっている」と。

その意味で音読は、書かれている文字を声に出して読むことで、そのまま黙読するよりも問題の意図をより深く掘り下げることができる、1つの方法なんだと思う。

「すべてがFになる」で有名な森博嗣さんも著書で、こんなことを言っている。

その問題を作ったのは誰なのか、
その問題を自分たちに提示している仕組みは何か、
という客観を持つことが重要なのであって、そこに一段高い視点が存在する。
つまり、問題を解くまえに、
その問題は何故生まれたのか、
それを解くことの意味はなんなのか、
問題自体が間違っている可能性はないのか、
という問いかけが大切なのだ。

以上を踏まえると、音読することそのものに効果があるのではなく、音読という「問題文を1つ1つの文字をしっかりと認識して、目から脳、口という情報処理過程に問題を載せることで、単に黙読するよりも問題をしっかりと噛み砕くことができる、ということではないか。

もっと端的に言ってしまうと、問題文を読む、ということは

もちろん音読しただけでこの考え方が出来るわけじゃないけれど、上に書いた森さんの考え方を頭にうかべながら、音読してみる。そうするだけで、いきなりアイデアを考えるよりも、より考える土壌が豊かになり、出てくるアイデアも少しばかり増えるのではないだろうか。ちなみに僕はいつも音読しているわけじゃないけれど、アイデアに煮詰まったとき、たまに思い出したように音読をしてみることがある。

ちょっと調べてみたけど、どうやら音読と理解度には関係がありそうだ。

理解と定着にはやっぱり “音読” が効く! 京大生がおすすめする『音読勉強法』 - STUDY HACKER

また、口を動かすことによって脳の運動野も刺激されるので集中力が高まります。自分の声を聞いているため、周りの音に注意が行ってしまうことを防ぎます。理解できない点をじっくり考えることもまた、集中を高めてくれるでしょう。

文理解における黙読と音読の認知過程 - 注意資源と音韻変換の役割に注目して(高橋 麻衣子 2007)

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どうしてもありきたりなアイデアしか出てこない人は、もしかしたらお題の理解がまだ浅いのかもしれない。あ、そうかもと思った人は、ぜひ音読を試してみてください。もしかしたら少しばかりアイデアを考えるときの苦手な気持ちが改善されるかもしれません。

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