我が家の愛情物語、昭和の暮らし。にょろちゃんとおばあちゃん。


にょろちゃん。


ママはパパに嫁いだけれど、ママの母親のおばあちゃんも一緒に暮らしていたから、我が家はマスオさん現象だったね。


   84年にパパが 65歳で亡くなり、おばあちゃんもかなりショックでガックリ弱ったけれど、まだ大好きな庭いじりをしていたね。


我が家の庭の草花は、おばあちゃんが育てていた。庭の半分の畑で、おばあちゃんがいわゆる家庭菜園をやっていたね。

この家を建てる時に、パパがおばあちゃんは庭が好きだから。と庭を広くしてくれた。パパにとっては義理のお母さんだけど。パパは本当に優しかった。



おばあちゃんがふらふらして危ないから、おばあちゃんが庭に出る時は、この頃は必ずにょろちゃんとお姉の私が側で付き添ったね。



夏の暑いある日、おばあちゃんと野菜を収穫して、おばあちゃんはテラスの屋根の下の木の古い椅子に腰掛けてひと休みした。


小さい可愛いにょろちゃんを抱っこして。




下がお姉が小さい時に弾いたオルガンの椅子で、上がもっと古いたぶんにょろちゃんとお姉が生まれる前からあった木の椅子。

この古いほうの背もたれがある椅子におばあちゃんは座り、膝の上のにょろちゃんに、



にょろちゃん、可愛いね。良い子だね。と、柔らかい笑顔で話しかけた。


にょろちゃんは、


おばあちゃんの、きゅうりやトマト、ナス、ほうれん草が新鮮で美味しそう。



にょろちゃん。夕飯で、おひたしにしてあげるね。サラダにしてあげるね。



おばあちゃんありがとう。おばあちゃんの野菜もお料理も美味しいから、たくさん食べる。にょろは夕飯が楽しみ。



そんな会話を、おばあちゃんとにょろちゃんがしていたね。


おばあちゃんはしっかり、にょろちゃんの顔を見つめて。にょろちゃんはおばあちゃんにしがみついて、おばあちゃんの目を見つめて。



おばあちゃんは、ママが縫った木綿のかなりゆるゆるで涼しい白のブラウスを、夏はいつも着ていたね。


真夏の午後の陽射しは、長野市は標高が高いから澄んでいるけれど

射すようにきつかったけれど、テラスの屋根でやんわりしていた。




その頃もう、食事はほとんどお姉の私が作っていたけれどね。



パパが居なくなって、凄い事ばかり起きていて、おばあちゃんもにょろちゃんも私もピリピリしていたけれど、あの夏の日のテラスの、やわらかな穏やかな空気は決して忘れない。


何気ない会話、何気ないひとこまが、生きてゆく上で、大切な心の支えになる。



おばあちゃん、ありがとう。


にょろちゃんとお姉の私の心のつぶやきです。











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