見出し画像

【小説】容疑者Xの献身 (東野 圭吾)

天才数学者でありながら不遇な日々を送っていた高校教師の石神は、一人娘の美里と暮らす隣人の花岡靖子に秘かな想いを寄せていた。
ある日、靖子の前夫・富樫が母娘の居場所を突き止めて訪ねてきた。
金を無心し、暴力をふるう富樫を、靖子と美里は殺してしまう。
呆然とする二人を救うために、石神は完全犯罪を企てるのだが...
というお話し。

昔やってたTVドラマを飛び飛びで見ていたけど、もう記憶に無いな。
柴咲コウが演じていた登場人物がいないのは、アレはドラマ都合的なサムシングなんだろうか?

ミステリージャンルでは必ずと言ってもいいくらい上位ランカーな作品。
コレとか「葉桜〜」は読んだ事なかったので手に取ってみた次第。

「思い込みによる盲点をつく」という台詞はこの作品のテーマというか、重要な要素なんじゃないだろうか?
石上、湯川、花岡、それぞれの思い込みが交錯して盲点が生まれ、やるせない結末へといざなわれる。

いろいろな思いや見方はあるかもしれないけど、タイトルの献身とは湯川の石神への思いなのかもしれないなぁ。

ラストは賛否あると思うけど、ハルコのその誠実な内面が、美しい眼差しとして彼女の外見に表れ、あの日の石神を救ったのだろうから、かくあるべしという感じなんだろう。

それぞれの思い。
愛はすばらしいけれども、やはり犯罪は犯罪。
この世に無駄な歯車がない、かつどのような歯車でも意思の回転を歪められればそこに歪みが生まれるのだろう。

私的に気になったのは、泣けるとか切ないというのは確かなんだろうけど、その感情や思いで石神の犯した罪についてなんだか美徳というか正当化されてるような感じがあったのが気になったな。
石上が、ある意味自分本位な感情で殺してしまったホームレスの御仁。
彼には目指したい高み、或いは野望を持ち進んでいく感情、未来があったはずなんだ。
その証拠に彼はいつも専門書を片手に毎日励んでいたのだから。

盲目的な献身という行為は「ラヴァーソウル(井上夢人)」を思い出した。

実に面白い。

#読書 #読書記録 #読了 #小説 #読書感想文 #読書好きな人と繋がりたい #文春文庫 #東野圭吾

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?