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【小説】みみそぎ (三津田 信三)

作家の「僕」のもとに、旧知の編集者・三間坂秋蔵から、あるノートが送られてきた。
ノートに綴られていたのは、怪奇を愛した三間坂の祖父・萬造が記したと思われる怪異の記録だった。
読むことで障りがあるかもしれない。
そう思いつつも一読した僕は、予想を超える内容に戦慄することになる...
というお話し。

初っ端から読者に責任を負わせられる共犯感。
話の中の話の中を彷徨う迷宮館。
気がついたらのめり込む無意識的な探究心の芽生え。
猫をも殺すなんとやら。
何かあるはずの所在の在処が分からない。
終わる事のないじわじわと感じる恐怖の中をひた走るドライブ。
怪談のマトリョーシカ仕立て。
堪らん人には堪らんのではないだろうか。

ルポルタージュ仕立ての進行と解決しない恐怖は「残穢」を想起させた。

語り手によって字のフォントが違うのは本ならではの表現方法かなと。

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