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情熱を消さないで

飲食店関連の仕事をして氣がつくのは、美味しいものを作り出す人は、食いしん坊で、食べ物への情熱が半端ではないということ。

休日は他の店の料理を食べに行ったり、新しい料理を試したり、食べることに絡んだイベントに参加したりしていることが多いみたい。食べることが好きだから、食の道に進んだということですね。

料理の勉強をし、提供するお酒の勉強をし、接客技術を磨いて、日々研鑽してきたことは、想像するまでもありません。

前回の来店の注文や、提供されたものへの反応を覚えていて、こちらの好きそうなものを勧められたり、「前回と同じのにしますか?」と聞かれたり、こちらのハートを鷲づかみにされてしまいますね。

「食は、文化」と言う表現があります。その地域で入手可能な食材を活かし、民族の嗜好に合わせた調理をし、民族にとって伝統的なやり方で、提供する、と言う一連の流れは、文化そのものです。中近東でしたら、男性と女性は別室でのパーテイもあるでしょうし、欧州で秋に豚を屠って、豚肉加工食品を村中総出で作っていたという話もあります。

飲食店と言う箱の中での振る舞い、というのも一つの文化です。サービス担当者に、本日のおすすめを聞いたり、取り合わせるお酒を勧めて貰ったりするとか、カウンターごしに調理場の見える席で、調理をしている方と話を交わしたりする愉しみのことです。

お店のサイドからすれば、お客様の好みを覚えて、次回来店の時のおすすめに活かすという、真剣勝負の場でもあるのですが。

この真剣勝負の場が失われた方は、どの位いらっしゃるのでしょうか。知っているレストラン、ビストロなど検索してみると、「閉店」という表示の多い事。料理をしていた方も、ホールでサービスをしていた方も、一定以上のレベルでないと務まらないような店、とういことは皆、正社員だったのではないかと思います。

何とか営業できていても、昼だけとか、お酒が出せないから集客が激減しているお店も多いのです。フレンチやイタリアンのフルコースで、ワインが飲めないなんて、氣のぬけたシャンパンのようなものではありませんか。働いている方のモチベーションが、情熱が、どんどん失われているように思われてなりません。

アクリル板を立てるとか、入店人数を制限するとかで、営業すれば利益が取れる店ならは、営業できる環境が欲しいところです。料理に欠かせないお酒も、提供できるようにして欲しいものです。

様々な海外からの料理を受け入れて発達してきた、日本の食産業です。一つの文化と言っていいと思います。無くなってしまったら、同じものを再生することはできません。

そして、この仕事に携わる方々の情熱の火も、消してしまったら、もう同じように灯されることはないのです。

政を行う方々に、忘れないでいただきたい。そして、私達も支持を続けなくてはなりません。


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