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―ベトナム戦争から今を考えてみるー「天と地」映画感想

製作 1993年 米
監督 オリバーストーン
出演 ヘップ・ティー・リー
   トミー・リー・ジョーンズ

あらすじ
O・ストーンが描く、ベトナム戦争をくぐり抜けてきた実在の人物レ・リー・ヘイスリップの真実の物語。1949年、フランス領インドシナ。ベトナム中部の小さな村キーラで、貧しい農民夫婦に女の子が生まれた。彼女の名はレ・リー・ヘイスリップ。物語は、ゲリラから娼婦となり、アメリカ軍人と恋に落ちて渡米。異なる文化圏での新生活を過ぎて再び夢にまで見た祖国の土を踏むまでの、彼女の波瀾万丈の40余年の半生を描いてゆく……。
(yahoo映画より)

ベトナム戦争とは何だったのか・・。

長らく疑問だったけどその答えのヒントをもらえた気がした。
土地に対する想いと思想に対する思いがねじれた形で入り組んだなんともかみ合わない戦争だったのではないかと・・・
ベトナムの密林でちまちま殺しあって、いったい何だというのか・・
と長らく疑問だったのだが・・

フランスの植民地から独立戦争として始まった
独立革命軍(北ベトナム)と旧政府軍(南ベトナム)の戦い。
問題なのはその戦い方だったのではないか・・・
北ベトナム軍・・軍とも言えない百姓一揆のようなデモ学生のような小グループが、ゲリラ展開して南の小さな村々を暴力を盾に半強制的に蹂躙し、草の根的に愛国独立思想を植え付けていった。

そのため、敵対対象が非常に分かりにくかった(北軍か南軍か民間人か)。この物語の主人公レ・リーもベトコンの愛国思想に賛同してベトコンの仲間となり、そのため南ベトナム政府軍に捕まるが、父の賄賂によって解放されたことで、こんどは北ベトコン側からも二重スパイの容疑をかけられるといった具合で・・。
(この辺りが非常にうまく描けていて、今までにないベトナム戦争映画となっている。単にアメリカ悪とも描いていない)
そこに中国が北にアメリカが南について介入し、共産主義VS資本主義の東西の代理戦争をはじめ、さらに混沌と激化がすすみ泥沼化した・・。
(ここまでのベトナム戦争の概要解釈。間違いあればご鞭撻ください)

物語は戦争に翻弄されながらたくましく生きた一人の女性の半生を描く。
ある意味「風と共に去りぬ」スカーレットオハラのような賛否極端に分かれるだろう壮絶な生きざま。
後半は優しいアメリカ人と結婚してアメリカに渡るが、おとなしく専業主婦をやってられず、そのたくましさが裏目に出てしまい、幸せな結婚生活も長くは続かないというお話。

総評として、理屈なく感動とか泣いたというところはなかったけど
静かに心に残ったのは
その苛烈な彼女の人生の節目節目で回顧される故郷の風景と仏教の精神。
そして、お父さんの言葉
「善悪の区別は難しい。あまり追求するな」

「お前はイイ妻や母になれる。息子のもとに戻れ。立派に育てろ」

「それがお前の戦いだ」

イデオロギー論争はどこまで行っても終わりはないし、人それぞれでいいじゃないか・・・。
それよりも人を愛し、家族を愛した。お前は私の誇りなんだ・・と。