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映画エッセイ「こんな夜更けにバナナかよ」~思いやりとかわがままとか正直さとか~

製作 2018年
監督 前田 哲
出演 大泉洋
   高畑充希
   三浦春馬

あらすじ
札幌で暮らす鹿野靖明(大泉洋)は幼少から難病を患い、体で動かせるのは首と手だけ。介助なしでは生きられないのに病院を飛び出し、ボランティアたちと自立生活を送っていた。夜中に突然「バナナ食べたい」と言い出すワガママな彼に、医大生ボラの田中(三浦春馬)は振り回される日々。しかも恋人の美咲(高畑充希)に一目ぼれした鹿野から、代わりに愛の告白まで頼まれる始末!
最初は面食らう美咲だが、鹿野やボラたちと共に時間を過ごす内に、自分に素直になること、夢を追うことの大切さを知っていく。
(アマゾン商品紹介より)

予想通りのお話だったけど
予想以上に心に響く作品だった
美咲ちゃんが良かったな~。
わりとはじめから、変な遠慮も憐憫もなく、一人の人間として
ホンネで接してた。
わがままと正直は紙一重で、そのラインを見極めるのは難しいものです。
僕は自分でいうのもナンですが、まあまあ思いやりある人間だと思います。
子供の頃から人と表立って大きなケンカしたことはほとんどないです。
だけど親友と呼べる人間もほとんどいない・・。
つまんない奴なんでしょう、ホンネをださないから・・。
鹿野は、冒頭からまるで障害者であることを逆手にとって
わがまま放題で、王様ハーレム状態。言い方も乱暴。
まあ、たぶん実際はもっと大小いざこざはあったでしょう。
しかしそれでも、
あれだけ多くのボランティアに支えられていたというのは

わがままさの中でこそ垣間見える正直な魂の叫びが人の心を動かす

という事があったのではないかと思うのです。
今なら、SNSで呼びかければそこそこボランティア集まったりするようですが94年当時はそんなのもない時代ですからね。
鹿野が初めから思いやりある態度で、ボランティアたちにいちいち気を使って、遠慮して、こまめにお礼を言ってるような人だったら、あのチームシカノボラの人間関係は構築できなかったんじゃないかな・・。
この作品から僕の心に響いたのは
わがままと正直は紙一重だけど
ギリギリまでわがまま寄りでいいじゃないかという事。
できるだけホンネで人と接し、ホンネで生きようという事。
人に助けられることを恥と思わず、要所ではちゃんとお礼も言えて。
言葉よりも気持ちで感謝の心があれば・・それは伝わるものなんでしょう。
まあ、過剰に影響されすぎてもいけませんが・・・
実際、現実でその兼ね合いの判断は難しいところですからね。

もう一つ力を入れて描かれていたのは夢をあきらめるなという事。

人工呼吸器つけながらまた話せるようになって、自宅に帰って、
カラオケも行って・・・あれも実話でしょ?
だったら本当にすごい人です。
英検やアメリカ渡航や徹子の部屋出演の夢が叶ったかどうかは
言いませんが・・・。
どんな状況にも屈せず、諦めず、わがままでも、自己中でも
貪欲に、ひたむきに、夢を追いつづけることが彼の生きるモチベーションであり、ボランティアたちのモチベーションでもあったという事は、
間違いなかったのでしょう。

※この記事は2019年11月に自身はてなブログに掲載したものに加筆修正を加えた引っ越し記事です。

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