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短編/掌編小説

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短編/掌編小説のまとめ
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2023年7月の記事一覧

短編小説/ショッピングモール

短編小説/ショッピングモール

 目を覚ましたとき、雨はまだ降っていなかった。
 身支度を整えてマンションを出たとき、腕に水滴があたったような気がして、ショッピングモールに到着したときには、どしゃ降りの雨になっていた。
 屋外の平面駐車場に車を停めて、しばらくフロントガラス越しの雨を眺めていた。ショッピングモールの壁に取り付けられた衣料品ブランドの看板が輪郭を失って滲んでいる。黄色い雨合羽を着た子どもが車の前を駆けていく。ワイパ

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掌編小説/桃を壊す

掌編小説/桃を壊す

 この人、わかってる。
 一つだけ傷んだ桃のことだ。

 近所のスーパーマーケットは、歩いて五分、自転車で二分。集会所の前を少し早足で駆けぬけて、レンタル家庭菜園みたいな横を通って、コンビニを一つ歩き過ぎたところにある。今年できたばかりのスーパーマーケットだ。広い駐車場があり、クリーニング店と散髪屋が併設している。
 日に一回は必ず行くようにしている。午前中と夕方、日に二回行くこともある。暇だから

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掌編小説/風葬都市ガイドマップ

掌編小説/風葬都市ガイドマップ

 街の名前は知らない。
 知っているのは、何百年前に滅んだ街というだけ。
 入口には錆びた看板があり、かろうじて〈…隊を希望され……〉の文字が判読できる。しかし、仮に文字が判読できたとしても、読む人がいなくなった現在となっては、わずかにできた日陰にしか価値がない。
 風に含まれた砂が金属板にぶつかり、絶えずかすかな音をたてている。
 見渡すかぎりの砂の色。アスファルトも、コンクリートも、砂の色。

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