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栄養学・栄養疫学・疫学の一端

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ざっくばらん
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#臨床疫学

論文執筆について思うこと ⑤・・・「科学論文の書き方の科学」 by Gopen et al.

論文執筆について思うこと ⑤・・・「科学論文の書き方の科学」 by Gopen et al.

ここで紹介する内容は10年以上前にボストンにいた際に、ボストンの研究者向けに寄稿した文章を改編したものです。寄稿したものはメルマガのような形で5つほどあったように記憶していますが・・その1つが次の論文の紹介です。

George D. Gopen and Judith A. Swan, Science of Scientific Writing, American Scientisit, 1990

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有名論文に基づいた一般向け情報の様子 ・・ 断食・ファスティングを題材とした一例

有名論文に基づいた一般向け情報の様子 ・・ 断食・ファスティングを題材とした一例

筆が進まないですが公開・・

New England Journal of Medicine(NEJM)という医学誌に報告された間欠的断食/絶食(Intermittent Fasting)について致命的と私が考えている問題点について以前、述べました(リンク)。多くの方が読んでくださったようで感謝しています。それとともにそうした情報に対する関心の高さに懸念を抱くばかりです。

その懸念とは、世の中に

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疫学の基本から注意してみる・・ビタミンDの急性呼吸器感染症に対する効果①

疫学の基本から注意してみる・・ビタミンDの急性呼吸器感染症に対する効果①

COVID19の蔓延に対してビタミンDのサプリメントによる予防効果(あるいは治療効果)を期待してもいいのではないか・・という話があります。医学論文にも掲載されているように今のところ、その効果を期待させる強いエビデンスはありません。

このNoteはそれに関連しそうな疫学研究の補足の内容になります。簡単に述べると呼吸器感染症に対するビタミンDの予防効果はそもそもそんなに強くないよということです。

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なぜNEJMを含む医学誌の”断食”、”絶食”、”ファスティング”に関する総説がダメなのかという話(intermittent fasting, 間欠的ファスティング)

なぜNEJMを含む医学誌の”断食”、”絶食”、”ファスティング”に関する総説がダメなのかという話(intermittent fasting, 間欠的ファスティング)

改訂1)ちょっと目次が上に来るように構成変えました。あと"てにをは"なども改善。(10:11 pm in UK, on 15 Apr 2021)

続きともいえる内容を更新しました(5月4日)。ここで紹介する論文を引用した際の情報発信の一例についてです。

先日、下に表示してあるようにTwitterで発言しました。New England Journal of Medicine(NEJM)は医学界で

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【臨床疫学】アダプティブ試験の実例・・ビタミンDのサプリメントによる転倒に対する予防効果は示されず

【臨床疫学】アダプティブ試験の実例・・ビタミンDのサプリメントによる転倒に対する予防効果は示されず

太陽のビタミンと呼ばれるビタミンD。COVID19、コロナウイルスに対しても話題がつきません。ビタミンDについて様々な効果が仮説として検証されているのですが、特に骨格筋に対する効果は期待が大きいです。カルシウムの吸収を助ける働きがあり、欠乏すると「くる病」や骨粗しょう症といった病気の原因となることに由来しています。それに関連して、このNoteは次の研究に基づいた内容で記しました。

Appel e

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