The Beatles 全曲解説 Vol.65 〜Words Of Love
夭折の革命的アーティストをカバー “Words Of Love”
『Beatles For Sale』9曲目(B面2曲目)。
ジョンとポールがボーカルを務めるカバー曲です。
オリジナルは、アメリカのロックミュージシャンのバディ・ホリーが1957年に発表したナンバー。
ビートルズによるカバーバージョンは、オリジナルをほぼそのまま踏襲していることがわかります。
特に、ビートルズの他の作品にはあまり見られない程の低いメロディで、優しく語りかけるような歌い方までしっかりと再現されています。
演奏でもその傾向は顕著で、リンゴはオリジナルの質感を出す為に、ドラムにパッキングケースを使っているそうです。
そういった意味で、この曲は他のカバー曲には見られない、異色な雰囲気に仕上がっています。
その背景には、オリジナルの作者であるバディ・ホリーの計り知れない影響力があったのです。
こんなにすごいぞ!Buddy Holly (1936-1959)
これまでビートルズは、多くの先輩ロックンローラー達を、彼らをも凌ぐ熱量でカバーしてきましたが。
その中でも、バディ・ホリーほど彼らに影響を与えたアーティストはいないと言っても過言ではありません。
まずはそのバンド名。
ホリーは「クリケッツ」というバックバンドを率いていたのですが、これは虫の「こおろぎ」と、スポーツの「クリケット」をかけたダブルミーニングです。
「ビートルズ」というバンド名も同じで、「カブトムシ」の「ビートル」と、音楽の「ビート」のダブルミーニングですよね。
ホリーがいなければ、そもそもこの世界中で愛されるバンド名すら生まれていなかった訳です。
そして、ビートルズに限らず多くのバンドに影響を与えたのが「ギター2本、ベース、ドラムス」という基本編成で、初めてメインストリームに躍り出たこと。
それまでのロックンロールのバンドは多くがビッグバンド形式だったのですが、ホリーはこのシンプルなスタイルを打ち出し、人気を獲得していきました。
さらに、当時のロックンローラーとしては異質だったそのファッション。
スーツスタイルが後にビートルズらに受け継がれたのは有名ですが、印象的な黒縁メガネのスタイルは、ジョンがメガネ嫌いを克服し、人前でもかけ始めるきっかけになったと言われています。
そんな、当時の若いロック好きに影響を与え続けたホリーですが、1959年2月3日、不運にも飛行機事故で22歳の若さで亡くなってしまいます。
この事故は他にも有望なミュージシャンが巻き込まれ、「ロックが死んだ日」と言われるほどの出来事でした。
現代から振り返ると、生きていればビートルズと両輪で、音楽を変えてしまったかもしれないアーティストと言えるでしょう。
そんなバディ・ホリーへのリスペクト溢れるパフォーマンスを堪能できるのが、この “Words Of Love” なのです。
補足情報: ホリーのカバーにはこんなレア音源も
オリジナルアルバムでは、ビートルズがホリーをカバーしたのは “Words Of Love” のみですが、ラジオ出演時をはじめ、他の曲を取り上げたこともありました。
そんな中で特筆すべきは、現存するビートルズ最古の音源が、ホリーの楽曲であること。
それは、彼が1957年にヒットさせた “That’ll Be The Day” でした。
ビートルズ(当時は「ザ・クオリーメン」)バージョンの方は1958年、リバプールの家電屋さんが開いていた簡易スタジオで録音され、既に紹介した “In Spite Of All The Danger” も演奏されました。
音質が大変悪いものですが、オリジナルに忠実に、リスペクトを込めて演奏されていることがよく分かります。
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