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The Beatles 全曲解説 Vol.49 〜Any Time At All

ハードさと優しさの両立 “Any Time At All”

『A Hard Day’s Night』8曲目(B面1曲目)。
主にジョンの作品で、リードボーカルもジョン(一部ポール)が務めます。

アルバムB面に入りますが、ここからは同名映画では使われていない新曲たちが登場します。

イントロの一発目、「ダン!!」と強烈なドラムの一発が衝撃的です。
スネアとバスドラをいっぺんに鳴らしたもので、いかにもビートルズ!といった感じのスタートです。

ジョンの強靭な喉で「♪Any time at all」とシャウトするサビは、 “It Won’t Be Long” から着想を得たそうです。
ただし、2回目のタイトルコールは、ジョンにとってキーが高いため、ポールが代わりに歌っているのが分かります。

ハードなサビから一転、Aメロは歌詞・メロディ共に非常に優しい調子で歌われます。
「君が悲しくて辛い時は、いつでもただ電話をくれればいい」
と、徹底して相手への奉仕を歌うその内容は、ファンに向けたものと捉えることも出来そうです。

このAメロは、ポールが多くの部分を手伝ったと言われており、そう聞くとこの穏やかさにも納得が行きますね。
畳みかけるようなハードさと、語りかけるような優しさが、ティーンエイジャーの恋愛をそのまま表しているようなナンバーです。

波瀾万丈なジョンの前半生を共にした・Cynthia Lennon (1939-2015)

ここで、作曲者ジョン本人の恋愛について触れておきましょう。

ジョンはビートルズのメンバーの中で最も早く結婚しており、そのお相手がこのシンシア(旧姓はパウエル)です。

彼女はジョンの美術学校時代のクラスメートで、バンドを組む直前のジョンに出逢っています。
第一印象はお互いにあまり良くなかったそうですが、不思議と二人は惹かれあっていきます。
ジョンのハンブルグ修行時代の遠距離恋愛も乗り越えた二人は、デビュー直前の1962年に授かり婚をします。

ただ、このことがデビュー後の支障になると考えたブライアン・エプスタインは、この結婚をトップシークレットとします。
すぐにバレてはしまうのですが…。

デビュー後、創造性を次々に開花させていくジョンと、何より二人だけの幸せを求めたシンシアとの間には、溝が深まってしまうこととなります。

詳しくは、こちらの自伝を読んでみてください。
ジョンがヨーコ・オノと出会う前の前半生や、シンシアの苦悩がよく分かる内容となっています。

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