The Beatles 全曲解説 Vol.56 〜She’s A Woman
「黒ポール」全開のR&Bナンバー “She’s A Woman”
シングル『I Feel Fine』B面曲。
ポールの作品で、リードボーカルもポールが務めます。
この曲は、リトル・リチャードをリスペクトしていたポールが、彼のような作風を目指して作った楽曲と言われています。
リトル・リチャードといえば、ポールは『A Hard Day’s Night』の発売前に “Long Tall Sally” のカバーを発表していますが、今度はオリジナル楽曲に挑戦!という形になりますね。
アルバム『A Hard Day’s Night』では、シリアスなバラードや、ストレートなロックンロールを披露したポールでしたが、ここではブラックミュージックへのリスペクト溢れた、まさに「黒ポール」を堪能することができます。
全編通じて4拍子で続くギターリフはジョンとジョージによるものですが、ちょいちょいミスっているのがお分かりいただけると思います(笑)。
こういうのもビートルズらしいというか、むしろライブ感があって温かみを感じるのはマジック故でしょうか。
初期のブルースを意識しているかのように、ドラムがあまり前に出てこないのも特徴です。
その代わりに、右から聴こえるマラカスのような音が良いアクセントになっています。
実はこれ、ショーカリョという南米でよく使われるパーカッション用楽器なんだそうです。
確かによく聴いてみると、マラカスよりもざらついて乾いた音に聞こえます。
曲のいい意味でラフなイメージにピッタリです!
このような細やかな楽器のチョイスは、リンゴによるものなのでしょうか…?
極め付けはやはりポールのドスの効いたボーカルでしょう!
自分の声で曲を引っ張るジョンとは対照的に、ポールは曲のイメージに合わせて、変幻自在のボーカルスタイルを聴かせてくれます。
その多彩さは、ビートルズとしてキャリアを重ねていくごとに顕著になっていきます。
そんな “She’s A Woman”。
B面曲では異例とも言える、ビルボード4位を記録するヒットとなるのでした。
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